社会を生き抜く「段取り力」#26

全般

今回は社会を生き抜く「段取り力」について説明します

はじめに

 社会を生き抜くために身につけておくと役に立つ能力の一つとして「段取り力」があります。「段取り力」については、もっと早い段階で記事にしようかと考えていたこともあるのですが、このタイミングになったのには理由があります。「段取り力」は仕事全般にわたる能力であり、内容があまりにも多岐にわたります。そのため、本ブログで仕事術の各種テーマを一巡した段階で取り上げた方が理解しやすいのではないかと考えたからなのです。
 もちろん、本ブログの読者によっては、前回までの記事を全く読むことなく今回の記事から読み始める人もいるでしょう。そのため、本記事だけでも独立した内容として「段取り力」を理解できるように書いています。
 ただし、「段取り力」は本ブログの各テーマ(例えば「マネジメント」「リーダーシップ」「危機管理」など)と切っても切れない関係にあります。「段取り力」はさまざまな仕事術が駆使されて発揮される総合的な力だからです。「段取り力」は観察・判断・決断・実行のすべての面において問われる力であり、第3回目の記事(できる人が徹底しているOODAループとは?)で説明したOODAループを実践するうえでも「段取り力」は欠かせません。

最初にお断りしておきますが今回の記事は長いです

 「段取り力」は上述したとおり仕事全般にわたり必要となる重要な力なので、お伝えしたいことがたくさんあります。そのため、本記事は分量的に長くなることを始めにお断りしておきます。あらかじめご了解ください。

段取り力とは?

 大工さんのような職人の世界では昔から「段取り八分仕事二分」という言葉があります。仕事の8割は事前準備で決まってしまい、実際の作業段階で頑張ったところでせいぜい全体の2割くらいしか影響しない、つまり仕事の出来不出来のほとんどは「段取り」段階で決まってしまうよ、という意味です。
 大工さんの仕事における段取りの大切さについて、法隆寺の宮大工・西岡常一氏とその弟子の小川三夫氏は次のように語っています。

 大工の仕事は段取りが大事です。今はだいぶ機械が入りましたので材を持つのも楽になりましたが、人の手で重い柱を動かすというたら、置き方ひとつでもずいぶん違いますのや。どれを下にして、どれを上に積むか、どの部分の仕事が進んでいて、どこが遅れているか、仕事が始まる前にすべてを承知して皆に指示しなくてはならんのです。(西岡常一)

 大工の仕事は段取り八分っていうぐらい、次にすること、先のことを考えて、いまの仕事をしなくちゃならない。だから材を置くにしても、次に使うものを下にしたら、その上にあるものを寄せなくちゃならない。そんなことをいちいちやっていたら仕事にならない。だから材木の置き方ひとつにしてもよく考えておく。置き方だけじゃない。木の削り方にしても組み立て方にしても何でもそうだ。(小川三夫)

(出典)「木のいのち木のこころ 〈天・地・人〉」(西岡常一、小川三夫、塩野米松)

 「段取り」とは、すごく大雑把な言い方をすれば「準備」と言ってもそれほど間違いではないのですが、厳密にいうと「段取り」は事前の準備だけを指すわけではありません。作業実施段階での事の進め方の良し悪しに関しても「段取り」は問われますし、作業終了後の反省・振り返りの場面でも「段取り」に注目することが必要です。
 例えば、受験を例に考えてみましょう。試験日までの事前準備段階での段取りもありますが、試験を受けているときの段取りも重要です。解答の順番を間違えたために時間配分をミスってしまったとか、配点の低いどうでもいい設問に意地になってこだわった結果、ほかの問題を解く時間が無くなってしまったとか、受験時の段取りによって試験結果は大きく変わります。さらに、今後の一層の成績アップのためには試験終了後の段取りも重要です。解答できた問題もできなかった問題もきちんと振り返りをして次回の試験に備えておくかどうかによって、その後の成績は大きく変わってきます。
 いずれにしても、「段取り」というのは必ずしも事前準備に限定されるものではなくて、実施段階でも、作業後の振り返り段階でも求められていると認識しておくことが大事です。

 この項の最後に、「段取り」に関する説明の一例として、齋藤孝氏の説明を紹介しておきます。

社会ではどんな力が求められるのか
(中略)段取りとは、芝居等での筋の運びや組立て、あるいは事の順序や方法を定めること、くわえて心構えを工夫することなどを指す。「仕事の段取りをつける」というように、事を運ぶ手はずをあらかじめ整えておくという意味である。

(出典)「子どもに伝えたい〈三つの力〉生きる力を鍛える」(齋藤孝)

「段取り力」の全体像

段取りで重要な3つのこと

 「段取り」を理解するために注意して欲しいことがあります。「段取り」を次にように表面的な側面だけで理解してはいけないということです。
【段取りの表面的な側面(例)】
 ◆事前準備すること
 ◆計画立案をすること
 ◆ものごとを仕切ること
 ◆次の展開を予測して行動すること

 上記はいずれも段取りの一側面であることは確かなのですが、段取りをこのような表面的なこととして理解すると、段取りを考えるうえで本当に重要なことを見逃してしまう可能性があります。

 段取りを考えるうえで最も重要なことは次の3点と考えています。
【段取りを考えるうえで最も重要な3つのこと】
 ①大筋を外さないこと
 ②優先順位を間違えないこと
 ③ゴールから逆算して想定されるプロセスを頭の中で思い浮かべること

「段取り力」の全体像

 「段取り」を考えるうえで最も重要な3つのことと、それを力として発揮するために大事なことを全体像として表現すると次のようになります。

「段取り力」の全体像は上記のとおりなのですが、「段取り力」とは、突き詰めてみると、「順番を組み替える力」だと私は考えています。
 以下では項目ごとに私が考えるポイント・注意点などを説明します。

大筋を外さないこと

大筋を外さないこととは=全体の8割程度の理解を目指すこと

 「段取り」で重要な3つの事項のうち1つ目に「大筋を外さないこと」があります。この「大筋を外さないこと」というのは、まずは全体の8割くらいを理解することだと考えています。8割というのは目安にすぎません。感覚的に言えば、細かいことは無視してとにかく大雑把に理解するということです。

パレートの法則(80対20の法則)を常に意識すること

 全体の8割くらいを理解することに関して、忘れてはいけない法則があります。パレートの法則(80対20の法則とも呼ばれる)です。成果(アウトプット)の80%は重要な20%のインプットからもたらされるという法則です。
 理解のために簡単な例でイメージしてもらうと、例えば、売上の80%は、上位20%の顧客から生み出されているというようなことを示す法則です。
 もう一つ別の例を挙げると、教科書の80%を理解しようと思ったら重要な20%の項目を重点的に勉強しておけば足りる、というようなことを示す法則です。
 いずれにしても、大筋を外さずに理解する、言い換えれば、全体の8割くらいを理解するうえでは「パレートの法則」を活用することはとても有益なので、この法則をいつも意識しておくと良いでしょう。

パレートの法則(80対20の法則)を活用することの難しさ

 パレートの法則(80対20の法則)を活用する際に留意して欲しいことがあります。パレートの法則(80対20の法則)を活用して重要な20%のインプットを特定しようとしても、実社会ではとても難しい場面があるということを知っておいて欲しいのです。
 すでに結果(アウトプット)が出た段階であれば、そのアウトプットの80%を生み出すもとになったインプット20%を特定するのは簡単です。しかしながら、段取りという観点でパレートの法則を活用することの難しさは、アウトプットが分かる前の段階で、80%のアウトプットを生み出す20%のインプットが何かを想定しなければいけないということなのです。
 一つの例で説明しましょう。例えば、売上がすべて集計された段階だったら、その売上を生み出すもとになっている顧客をA顧客、B顧客、C顧客というように顧客ごとに集計するのも簡単だし、その結果として顧客上位20%のA顧客とB顧客の売上合計額だけで全体売上の80%になっていたことを把握するのも簡単です。つまり「この顧客だけ押さえておけば売上の80%をカバーできる」と結果論でいうのは簡単です。
 しかし、実社会で段取りよく事を進めるためには、結果論ではなくて事前の段階で「どの顧客だけ押さえておけば売上の80%をカバーできるのか」を判断しなければならないのです。
 先ほどの売上の例で説明すると、販売前の段階(売上計上がされる前の段階)で、売上の80%を生み出す顧客がA顧客なのか、B顧客なのか、X顧客なのか、Y顧客なのか、事前にあたりをつけなければ、段取りのいい仕事はできないということなのです。ここが実務でパレートの法則(80対20の法則)を活用する際に難しいところです。
 もう一つ別の例で説明しましょう。試験勉強で例えると、教科書のどの20%の項目にヤマを張って勉強すれば試験で80点をとれるのかは試験勉強の段階では分からないということなのです。試験問題が判明した後の段階なら、教科書のこの部分(20%)だけを勉強しておけば80点取れたことは結果的に分かるのですが、試験後になってからヤマを張っておくべきだった20%が分かっても後の祭りです。試験前の勉強する段階でヤマを張るべき20%部分を知りたかったと思うのは誰でも同じです。どの20%にヤマを張れば80点取れるのかが事前に分からなければ事前準備(段取り)という観点ではあまり意味がないのです。
 だからと言って、当たるかどうかも分からないヤマを張ってそれだけしか勉強しないのもギャンブルのようで危険です。そのため、普通はヤマなど張らずすべての項目をまんべんなく勉強する作戦をとるでしょう。試験までの残り時間とやる気が十分あるのならその作戦でもいいのですが、これはこれでやり切るのはまた大変なことです。それに残り時間的に見て現実的にそれが無理な場合もあります。それゆえ重要になってくるのは、パレートの法則の考え方を活用し20%の項目にヤマを張って勉強するにしても、ヤマが当たる確率を上げることなのです。
 もちろん最初のうちはヤマを張っても当たりませんし、むしろ痛い目に遭うことの方が多いです。しかしながら大切なことは、失敗に懲りず、常に次のことを念頭に置いて仕事をすることです。
 ◆アウトプットの80%を生み出すことになる20%のインプットは必ず存在すると信じること
 ◆その20%のインプットが何かを考え続けること

 上記2点を繰り返し、繰り返し実践しているうちに、感覚が研ぎ澄まされていき、いずれはヤマを外さなくなります。

 パレートの法則の活用法に関して、もう1つ例を挙げて説明させてください。

 どんな仕事でも社会人になると会議に参加して議事録作成を担当することがあります。慣れないうちは会議で議論された一語一句すべてをメモしようとする人がいます。そういう人は、場合によってはレコーダーで録音した音声を文字に起こして議事録を作成しようとさえします。しかし、パレートの法則に照らして言えば、会議で議論された80%の論点は、20%のキーワードなりポイントでカバーされるはずです。だから、議論の大筋を外さないという意味での議事録を作成するのであれば、一語一句のすべてをメモしておく必要はありません。会議で議論された20%のキーワードなりポイントを拾っておくだけで十分なのです。
 もちろん議論が刻々と進行している中で、80%の論点をカバーすることになる20%のキーワードがどれなのかを把握することは実際にはとても難しいことです。それでも、会議で話されているポイントを漫然とメモしていくのではなく、どこかに全体の8割をカバーする2割のキーワードがあり、それを逃すことなくメモする、という意識で臨むことが大事なのです。
 そういう意識をもって仕事を継続していくうちにヤマを外さないようになっていきます。そうなると、パレートの法則に従って2割のインプットを把握するだけで8割のアウトプットを理解できる、すなわち大筋を外さないようになることができるようになります。

 大筋を外さないということに関しては、斎藤孝氏の本の中から役に立つ主張もご紹介しておきましょう。

◆「そこの部分をしっかり読めば、本の八割方をつかむことができる」、そのような二割を選び取ろうとすること。そうした意識を持つこと自体が、要約力を高める。全体の二割を通して八割方を押さえる。
◆八割方妥当な線を大量の文字情報の中から的確に短時間でつかまえる訓練の方が、実社会においても有益である。

(出典)『「できる人」はどこがちがうのか』(齋藤孝)

 ここまで長くなりました。いったん要約すると、段取りで決定的に重要なことの一つ目は大筋を外さないということです。

ご参考:「パレートの法則」の説明

 上記でご紹介した「パレートの法則」については、ネットで検索すると解説記事がたくさんヒットします。詳しく知りたい方はぜひネットで調べてみてください。ここでは、簡単に説明したものを1つだけ紹介しておきます。

パレートは、二十世紀初頭に影響力をもったイタリアの経済学者で、俗に80−20ルールと呼ばれ、学術的には不均衡配分の法則と呼ばれる法則を公式化した。これは、ある一つのプロセス成果のうち、その8割は、インプット(投入)のわずか2割によってもたらされるという法則である。

(出典)「リエンジニアリング革命:企業を根本から変える業務革新」(M・ハマー、J・チャンピー、野中郁次郎訳)

優先順位を間違わないこと

優先順位を明確にするためには覚悟が必要

 「段取り」で重要な3つの事項のうち2つ目は「優先順位を間違わないこと」です。優先順位を間違わないためには、その前段階として優先順位を明確にすることが必要です。優先順位を明確にするとは、何が重要なのかという重みづけをするということです。ここで大切なことは、重要なものとそうでないものを見極めようとする意識を常に持つということです。漫然としていると「まぁ、どちらでもいいや」という気持ちで流されてしまうので、常に自覚的であることが大事なのです。
 ところで、重要でないものとそうでないものを区別するということは、言い方を変えると、「あれもこれも」ということではなく、「あれかこれか」という二者択一をするということです。どちらか1つを選択するということは、すなわち、どちらか1つを捨てることになります。これは現実社会ではかなり難しいことです。
 状況や立場などによって判断基準は変わるし、また、じっくり考える余裕がないことも多いばかりか、そもそも考えても結論が出るようなものでないことも多いからです。同じ現象であっても平時か有事かでも優先順位は変わってきます。失敗を恐れるあまり決断力が鈍り、なかなか優先順位をつけられなくなることもよくあることです。
 しかしそれでも、優柔不断でタイムリーに決断できない人にはゆめゆめならないようにしなければなりません。どんな時でも勇気をもって決断することが大事です。そして、決断するためには覚悟が必要です。覚悟とは、最悪何を失うかをあらかじめ認識し、その結果を受け入れることです。この点はとても重要なことなので強調しておきます。

 なお、覚悟に関しては第2回目の記事(苦境を乗り越えるための4C(Commitment、Control、Challenge、Connectedness)でも私の考えを書いています。ご参照ください。

優先順位を明確にするだけで終わらせず、優先順位の判断を間違えないレベルを目指す

 ところで、この項のタイトルは「優先順位を明確にすること」とはなっておらず、「優先順位を間違わないこと」となっています。このタイトルには、優先順位を明確にするのは当然で、さらに優先順位の判断を間違えないレベルを目指すことが大事との考えが込められています。
 思い切りよく決断して優先順位を明確にすることだけでも難しいのに、さらに判断と決断が間違っていないレベルまで求めるのは厳しいことです。でも、そこまで自分に求めて判断と決断をするという意識・姿勢がとても重要なことだと認識しています。皆様もこの意識を習慣化することをお勧めします。そうすれば窮地でも自分の判断・決断で必ず救われる場面が出てくると自信をもって断言できます。

「段取り力」とは、突き詰めてみると、順番を組み替える力のこと

 大筋を外さず、優先順位を間違わないように意識したうえで、段取りを上手にするために重要なことは、事を進める際に形式的な順序や与えられた順番どおりに行うのではなく、常に自分なりに順番を組み替えることです。少し大げさな言い方をすれば、段取り力とは、事を運ぶうえでの順番を組み替える力だと認識すべきです。
 人間の習慣というものは恐ろしいもので、ボーっとして何も考えずに事を始めると、例えば会議では配布された資料を順番どおりに見てしまったり、ページ順に上から読んでしまいます。勉強では教科書の最初のページから始めてしまうし、試験だったら最初の1問目から解き始めてしまいます。部下から報告書が上がってくれば最初のページから読んでしまいます。棚の整理だったら端から順に取り掛かったりします。
 また、時間的な順番というのも体に染みついていて油断大敵です。人は何も考えないと、素直に時間の流れに従って行動してしまいます。例えば、暫定的であっても予定表を作成すると、もともとは重要な順に予定を立てたわけではなかったとしても、作成した予定表にしたがって淡々とスケジュールを進めてしまうことなどよくあることです。予定表をいったん白紙に戻せばいいのに、面倒くさいとの気持ちが働いて、順番を組み替えないことなんてしょっちゅうあります。
 こうした結果何が起こるかと言えば、本当に重要なことが時間切れなどでできないという事態に遭遇するのです。
 だから、段取り力で大事なことは、何か事を始める前に、まずは与えられた順番を自分の優先順位に従って組み替えることなのです。
 皆このことを頭では理解していますが、実際にするとなると結構難しいです。特に、焦っているときや追い込まれているときなどは要注意です。はやる気持ちに急かされ、ついつい直ちに目の前の事から手を付けたくなる衝動に駆られるからです。しかし、その気持ちをぐっと我慢して、まずは順番を組み替えることから始めることが大事です。
 もちろん、時間も労力も、なにもかも十分な余力があって、順番などまったく気にすることもない状況というのもあるでしょう。だからケースバイケースではありますが、一般的に言えば、何かを開始する前にまずは順番を組み替える必要がないかを検討するという習慣をつけるよう強くお勧めします。
 まさに「段取り八分仕事二分」の精神を忘れずに、ということです。

メモ

優先順位の判断基準になる重要性
優先順位というのは、各自が重要だと考える価値観(重要性)をもとに判断することになります。そのため、そもそも「重要性」とは何かということを日頃から整理しておくことをお勧めします。なお、私は「重要性」を5つの観点で考えています。詳細は第13回目の記事(分析開始前に「大きさの程度と重要度」を考えること)をご参照ください。

ゴールから逆算してプロセスを推測しシミュレーションしておく

 「段取り」で重要な3つの事項のうち最後の3つ目は「ゴールから逆算してプロセスを推測しシミュレーションしておく」です。
 その道の達人と言われる人は、スポーツ選手でも料理人でも大工さんでも、実際に作業を始める前の段階で、目指す結果(ゴール)からプロセスを推測し、これからどんな手順で事を進めたらいいのか、頭の中で思い描いています。言ってみれば、イメージトレーニングのようなことをしています。
 例えば、プロ野球の名選手でもあり名監督でもあった野村克也氏は、「想像野球」または「準備野球」と呼んで、次のように説明しています(引用が少し長くなりますが、段取りを考えるうえではとても重要なことが書かれているので、ぜひ最後まで読んで欲しいです)。

「想像野球」「実戦野球」「反省野球」
 現役時代の私は「想像野球」「実戦野球」「反省野球」の三ゲームを日課としていた。これもまた、興味と探究心がなせることだった。
 まずは試合前、頭のなかで先発ピッチャーと相手打線をイメージしながら勝負していく。「このバッターは、一球目はこれから入って、次はこう、そして勝負球はこれだ」などと、ひとりずつデータをもとに攻略法をシミュレーションしていくのである。これが「想像野球」である。
 想像野球は九回すべてシミュレーションするわけではない。ひと回りぶんだけだった。というのは、二打席目からの配球は、一打席目の結果によって決まるからである。ストレ ートを狙っていたか、それとも変化球を待っていたか。ヒットを打たれたならそれがストレートだったか変化球だったか。それをもとに配球を組み立てていくからだ。 二試合目はもちろん、グラウンドで行う現実の試合。
 そして、試合が終わったら、勝とうが負けようが、スコアブックを見ながら、もう一度 最初から最後まで一球ずつ振り返っていく。これを私は「反省野球」と呼んでいた。「実戦野球」が「想像野球」通りに進むことはまずない。そこで、「何が悪かったのか」「どこでミスがあったのか」、丹念に検討していくのである。
 すると、たとえ勝ち試合であっても、攻め方を間違ったために本来ならば防げた点を与えてしまっていたとか、たまたまバッターが打ち損じてくれたおかげで助かったけれども、ミスがなかったら流れが大きく変わっていたというような場面にしばしば出くわすことになる。
 「このストレートを狙い打ちされたのは、ここに伏線があったのか!」 「ここでカーブを打たれたのは、ここでバッターが狙いを変えたからなのだ」 さまざまな発見がある。
 また、試合中は小さなことだと気にしなかったプレーが、じつは勝敗を決める大きなポイントになっていたということに気づかされることも少なくなかった。

(出典)「野村の遺言」(野村克也)

1試合を3度繰り返すと、勝てる
「準備・実践・反省」がプロの習慣

 1つの仕事に対して、3度向き合う。それができて、はじめて成長進歩につながるのだ。
 プロ野球のレギュラーシーズンは、144試合組まれている。1週間に6日間、毎日試合を繰り返す。たとえ同じオーダーで繰り返し戦ったとしても、決して同じ結果にはならない。
 それなのに、何度も対戦するからなんとなく「やり直しがきく」と思ってしまいがちだ。今日は負けたけど、明日勝てばいいや。気持ちの切り替えが必要なのも当然だが、今日の失敗を引きずることなく簡単に切り替えられるような者に、進歩はない。
 キャッチャーとしての経験から、1つの試合に臨むために「3度試合をするのだ」 と自分自身に言い聞かせて、指導する選手にも説き続けてきた。

①準備野球
 前日の夜に始まる。相手チームのスターティングメンバーを1番から9番まで並べる。現在の巨人で言えば1番長野、2番寺内、3番坂本、4番阿部……と、それぞれのバッターを、翌日投げるピッチャーにどんな配球で抑えさせるかを考えていく。
 スコアラーが集めてくれたデータと、前回直接対戦したときの経験、判断基準を基に、イメージ野球に何時間も費やす。当然、この準備野球は9回をパーフェクトに抑える「完全試合」であるべきだ。

②実践野球
 これは実際にプレーする試合のことだ。前夜のイメージ野球を基にして、当日のピ ッチャーの調子や、1打席目、2打席目とその日の試合中に集めてきた情報も 判断基準に加わる。前日の準備野球でイメージした通りにいかないこともあるし、 直接対戦した前回とも変化が出てくる。その変化もまた、新たな情報に変わる。

③反省野球
 遠征先だとホテルに帰っても、その日打たれたシーンが頭から離れない。「ああ、 もう1度やり直させてくれ」と思ってみてもあとの祭り。現役時代には「あそこ、 まっすぐじゃなくて変化球やったかな」などとブツブツ言っていた。試合後に上がってきたデータを突き合わせながら、今日の失敗を明日や次回対戦に生かしていくようにする。
 仕事を成功させるためには、「結果論」をないがしろにしてはいけない。 他人から「なぜあそこでカーブを選んだのか?」と責められるのは気持ちがいいも のではない。なぜ癪に障るのか。多くの場合、自分も同じ反省をしていて「そんなことわかっているよ」と思うからだ。自分の仕事を結果論で振り返るのは必要な作業だ。 結果がすべて、と言う人ほど、おもしろいことに結果論を嫌う。
 最近は「前を向く」とか「リセット」とか、切り替えを促すフレーズが流行している。しかし「歴史とは、人間の失敗の蓄積である」と言う人がいるように、結果論には、未来の成功への教訓が含まれている。結果論とは、次に成功するプロセスをつくる源になる。
 反省野球が準備野球の出発点になり、準備野球が実践野球の成功失敗の基になる。 だから、仕事は3度繰り返さなければいけない。
 準備、実践、反省。
 3度繰り返すことを、プロフェッショナルとして習慣にしてしまうことだ。

(出典)「人生に打ち勝つ野村のボヤキ」(野村克也)

 野村監督は、毎試合ごと試合前にシミュレーションしろ、それが習慣化されてこそプロなのだという主旨を書いています。普通に考えれば、「プロ野球のレギュラーシーズンは、144試合組まれている。1週間に6日間、毎日試合を繰り返す。たとえ同じオーダーで繰り返し戦ったとしても、決して同じ結果にはならない。それなのに、何度も対戦するからなんとなく」試合に臨んでしまうとしても、その気持ちはよくわかります。特に、仕事に対してある程度の慣れが出てくると、ついつい面倒くさいとか、そこまでする必要はないというような気持ちが勝ってしまうものです。しかし、野村監督は「プロとして習慣にしてしまえ、そうすれば成功する」と言っています。確かに一流と呼ばれる人たちはその点を徹底しているからこそ一流なのです。
 段取り力を考えるうえでは、先に述べた「順番を組み替える力」とともに「成り行きに任せずに常にシナリオをもとに事前にシミュレーションしておく力」の重要性は、どんなに強調しても強調しすぎということはありません。
 この点について誰でも理屈では理解しているのですが、いざ事を進める段階になると、実際次の3つの要因から成り行き任せにしてしまうことが多いとの印象です。

<成り行き任せにしてしまう3つの理由>
①面倒くさいという気持ちに負けること
②想像力(及び関連知識)が欠如していること
③根拠なき過度な楽観論に期待してしまうこと

 1つのイメージを持ってもらうために、例えば、登山の準備をする場合を考えてみましょう。天候が悪化するかどうかを事前に調べておくことはとても重要なことだと分かっていても、ついつい面倒で準備を怠るかもしれません。あるいは、登山中に雨で濡れながら歩行すると急激に体温が奪われることの危険性を想像できない、または知らないだけかもしれません。あるいは、最近好天が続いているから多分大丈夫でしょうという根拠なき楽観論で準備不要と考えてしまうかもしれません。
 いずれにしても、上記3つの要因に負けないためには、次のような点を心がけるしかありません。

<成り行き任せにしないための心構え>
①面倒くさいという気持ちにまけないためにも事前シミュレーションを習慣化させること(体に染み込ませること)
②常に先の展開を想像するクセをつけること
③最悪の事態を想定して準備しておくこと

 上記3つの心構えは、特に有事の危機管理では必須事項です。段取りが少々悪くても許容される平時とは異なり、有事においての段取りの悪さは命取りになるかもしれません。
 もちろん現実社会では、どんなに先を読み、さまざまな危険を予測し、緻密なシミュレーションを繰り返していても、「事実は小説より奇なり」と思わせるような想像を超えた不測の事態は起きるものです。だから事前に色々と想定しておくことが自体無駄であり、結局のところ成り行き任せが一番という考え方の人もいるかもしれません。しかし私は断言しますが、成り行き任せで仕事をする人には、あまりにも心配で仕事など決して任せられません。事前に頭の中であれやこれや考えている人の方が失敗を避けられる確率は格段に高くなります。仕事を頼むならそういう人に頼みたいものです。

 いずれにしても、「段取り」では「ゴールから逆算してプロセスを推測しシミュレーションしておく」が大事です。

反省・振り返りでも段取りに注目する

 段取りが求められるのは事前準備段階や実践の段階だけではありません。結果が出てからの反省・振り返りの段階でも段取りはとても重要なことです。この項では、反省・振り返りの段階での段取りにつて説明します。
 すでに記載した段取りの全体図から振り返り段階の部分だけ再掲しておきましょう。

 この振り返り段階でポイントとなるのは次のとおりです。

①勝ちをラッキーと認識したり(結果オーライで済ませたり)、逆に負けをアンラッキーで済ませない。やり方(プロセス)にまずい点がなかったかに着目して振り返ること 
 
➡ やり方(プロセス)にまずい点があれば、それは段取りの問題と捉えること

②結果が出なかったのは才能がないからでもない。努力が足りなかったからでもない。アンラッキーだったからでもない。単純に段取りがまずかったからだと認識すること。
 
➡ 段取りをどのように改善すればいいのか考えること。

③同じ失敗は二度繰り返さない。
 ➡ 失敗から教訓を導き出し、次回は同じ轍を踏まないこと。

 以上のポイントを具体的に教えてくれる格好の教材として、野村克也氏の本から3つの引用を紹介します。振り返り段階で意識すべきことを具体的に教えてくれるものであり、大変示唆に富む内容になっています。私はこの文章から大いにヒントをもらいました。
 長い引用となり、おまけに内容が相互に若干重複している部分もあって恐縮ですが、皆様の考えるヒントになれば嬉しいです。

●失敗を遠ざける者は成功をも遠ざける
 「想像野球」「実戦野球」「反省野球」のなかで、もっとも念入りに行ったのが「反省野球」だった。一球一球つぶさにチェックしていくと、ゆうに一時間以上はかかった。いや、寝ようと目をつむってからも、失敗した場面が浮かんできて眠れなくなる。大げさに言え ば、翌日の試合がはじまるまで繰り返していたと言っても過言ではない。
 しかし、こうした作業をしておくのとそのままにしておくのとでは、次の試合に大きな差が出る。対策を立てられ、同じ失敗を避けられるのはもちろんだが、相手の変化にも敏感になるのである。その意味で、反省野球は過去に向かってやるものではなかった。未来のために行うものであった。その意味では「準備野球」だとも言えた。
 近年は、ポジティブシンキングと言うのか、成功体験の重要性が叫ばれている。それは私も否定はしない。勝つことで生まれる自信は何ごとにも代え難い。とりわけ新人や実績のない選手には、成功体験は非常に大切だ。
 ただ、振り返ってみてほしい。勝ったとき、成功したとき、「どうしてうまくいったの か」、考えたことがあっただろうか。私自身、思い起こしても、勝った試合の反省野球はすぐに終わることが多かった。勝ったという事実に満足し、酔ってしまい、内容を詳細に検討することがなかった。むしろ、過信や驕りを生むこともあった。
 しかし、負けたときは謙虚になり、徹底的に敗因を追及した。すると、試合をしているときには気づかなかった発見がたくさんあった。
 「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
 私はよく口にする。 勝利のなかには、幸運や相手のミスによって転がり込んでくるものもある。しかし、敗戦には必ず理由がある。偶然のように見えても、アンラッキーに見えたとしても、そこにいたるまでのどこかに、必ずそうなった理由があるはずなのだ。 武田信玄も言っている。

負けまじき軍に負け、亡ぶまじき家の亡ぶるを、人みな天命という。それがしに於いて は天命と思わず、みな仕様の悪しきが故と思うなり

 負けたのは、失敗したのは、天命ではない。やり方が悪かったのである。人間は、失敗や負けを経験してはじめて、反省するものだ。だからこそ、負けから学ぶことが大切なのである。嘆いたり、悲しんだり、慰め合ったりする暇があるのなら、負けた原因を徹底的に究明し、同じことを繰り返さないために対策を講じるべきなのだ。これは、何も野球にかぎったことではないはずだ。
 たしかに負けを振り返るのは気分がいいものではないし、気持ちが沈むこともある。だが、失敗を遠ざける者は、成功をも遠ざける。負けた原因をしっかり検証し、修正、改善しなければ、同じ失敗を繰り返しかねない。逆に、きちんと反省すれば、同じ轍を踏む確率は格段に低くなる。

(出典)「野村の遺言」(野村克也)(注)ハットさんが一部太字にした。

かの武田信玄もいっている。

負けまじき軍(いくさ)に負け、亡ぶまじき家の亡ぶるを、人みな天命という。それがしに於いては天命とは思わず、みな仕様の悪しきが故と思うなり

 戦(いくさ)に負けるのも家が亡ぶのも、決して天命なのではない。やり方が間違っていたからだ。信玄はそういっているのである。
 だから、負けたときは不運だとか、天命だとかいってあきらめたり、負け惜しみを口にしたり、言い訳をしたりするべきではない。負けには必ず原因があるのだから、嘆いたり、悲しんだり、なぐさめあったりしている暇があるのなら、敗因を徹底的に分析し、対策を練るべきなのだ。(中略)
 負けを「アンラッキー」で済ますことなく、こうした諸々の点をしっかり検証し、負けにいった原因をつきとめ、修正・改善することができれば、同じ轍を踏む確率は格段に低くなるのだ

(出典)「負け方の極意」(野村克也)(注)ハットさんが一部太字にした。

 野村氏は武田信玄の言葉を紹介したうえで「戦(いくさ)に負けるのも家が亡ぶのも、決して天命なのではない。やり方が間違っていたからだ」と解説しています。野村氏が言うように「やり方が間違っていた」という考え方はとても重要です。「やり方が間違っていた」だけなら、次回は間違っていたやり方を正せばいいのですから。つまり、自分の才能・能力が劣っているわけでもないし、運命でもない。問題だったのはあくまでもやり方(段取り)だったと気がつけば、努力の方向が間違っていたとしても是正が可能になります。やり方(プロセス)が間違っていないかどうかを検証して、もしやり方(プロセス)が間違っていたのならば、そのやり方(プロセス)を見直せばいいのです。
 この点に関しても参考になる2つの意見を紹介しておきます。

◆結果論で叱ってはいけない。その結果に至ったプロセスを重視すべきである。要は正しい努力をしているかどうかを問うべきなのである。
◆プロセスの重要性。(中略)いきなり結果があるのではない。結果には、必ずそこに至ったプロセス、すなわち過程がある。よい結果が得られたとすれば、そこにはよいプロセスがあったからである。

(出典)「人生で最も大切な101のこと」(野村克也)

段取り力とは社会を生き抜く力
 特別な天才や芸術家を除けば、私たちの間にそれほど大きな才能や能力の差はない。ただ段取りのいい人と悪い人がいるだけだ、と私は思う。普通は何かに失敗したとき、自分には才能がないとか、能力がないと言ってしまう。しかし才能や育ち、環境のせいにしてしまうと改善のしようがない。改善のしようがないから、努力もしない。だが「段取りが悪かったらうまくいかないんだ」と考えることで、対処法が違ってくる。これが重要なポイントだ。
 勉強を例にとっても、段取りが悪いことに気づくか気づかないかで、上達に雲泥の差が生まれてしまう。試験の点数が悪いと、自分の頭が悪いとか「この科目は自分に向いていない」という方向へ持っていってしまうことが多い。しかし試験ができなかったのは、準備の段取りが悪かった、あるいは試験の時間配分の段取りが悪かったのだと冷静に考えられるようになるとかなり上達していく。
 家事や仕事をきちんと仕込まれた経験のある人は、「段取り命」ということを知っている。要するに段取りという言葉があることによって、自分自身を責める度合いが減ってくるのだ。

(出典)「段取り力」(齋藤孝)(注)ハットさんが一部太字にした。

 以上長くなりましたが、今回のテーマである「段取り力」の説明は終わりです。

今回のまとめ

◆どんな分野でも事をうまく運ぶには段取り力が求められること
◆段取り力でポイントになるのは次のとおり

おすすめ図書

①「子どもに伝えたい<三つの力>」(齋藤孝)
②『「できる人」はどこがちがうのか』(齋藤孝)
③「段取り力―「うまくいく人」はここがちがう」(齋藤孝)

上記①の本は、当ブログの第7回目の記事(どんな場面でも通用する質問(問い)の構造)でも紹介した本です。齋藤孝氏は、社会を生き抜くための必須の力として「コメント力(要約力・質問力を含む)」「段取り力」「まねる盗む力」の3つの力を提唱しています。上記の①と②ではこの3つの力を総合的に紹介した本です。物事の上達のための方法論として読んでもとても参考になります。
上記③の本は、齋藤氏が提唱する3つの力のうち「段取り力」だけに限定して説明したもので、その道の達人たちの具体的な段取り力を紹介することによって段取りの本質を教えてくれる本です。どの分野の仕事でもある程度のベテランといわれるレベルにある人にとってはこの本に書かれていることはすでに無意識に実践しているかもしれません。そのため、内容的に当然の内容で目新しさは感じないかもしれませんが、齋藤氏が段取り力の本質を言語化してくれた意味は大きいと考えます。今まで職人芸的に体で覚えていた段取りの本質をきちんと言語化し、段取りの再現性を高めるためのヒントを与えてくれます。

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「木のいのち木のこころ―天・地・人」(西岡常一、小川三夫、塩野米松)

法隆寺の宮大工だった伝説的な職人・西岡常一氏とその弟子である小川三夫氏が職人としての心構えや考え方を語った本です。体で覚える職人の仕事のやり方や考え方はどんな分野の仕事でも参考になることが多いと感じます。段取り力だけでなくチームの統率力や部下の育成力という観点でも学びがある本です。西岡常一氏の語りを読んでいると、実際に目の前で宮大工が仕事をしている様子を見ているようで、ありありとした情景が浮かんできます。まるでその場で西岡氏の教えを請けているような気になります。仕事術に関する様々なヒントをもらえる本としてお勧めします。

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「負けかたの極意」(野村克也)

野村氏の本はどれもお勧めであり、今回の記事本文の中でも数冊の本から引用を紹介しました。今回の記事のテーマである「段取り力」ということに関していうと、上記に紹介した「負け方の極意」は全編にわたって段取りの考え方を具体的に教えてくれる本です。
示唆に富んだ内容満載ですが、特に「Why not ?を明確にせよ」という指摘は秀逸です。この点は今回の記事では触れませんでしたが、いずれ「Why not ?を明確にせよ」というテーマだけで記事を書きたいと思います (➡ハットさん注:59回目の記事(「WHY NOT?」も考える)で「WHY NOT?」について書きました)。
いずれにしても、一流のプロとして認められるような仕事をしたいと願っている人にとっては、本書は大いに参考になるでしょう。

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ハットさん
ハットさん

どんなことでも始める前に「順番を組み替える必要はないか?」と自問するクセをつけるだけで段取り力は格段に向上します。試してみてくださいね。

メモ

【段取り力と密接に関係する「山登り型」の行動】
 今回の記事で説明した段取力は山登りの時には必須ですが、現実に山登りをしなくても同じ様な思考・行動をするときに必要となる能力です。そんなことを第46回目の記事(課題への対処の仕方に「山登り型」と「川下り型」の2つのタイプがある)で書きました。興味があればこちらの記事もどうぞ。

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