致命的な失敗への対処法 #70

危機管理

今回は「致命的な失敗への対処法」についてお話しをします。

 どんな人でも失敗をしない人はいません。程度の差こそあれ人生は失敗の連続です。だから失敗そのものを恥じる必要はないし、過度に恐れる必要もありません。ただし、再起不能になるような致命的な失敗だけは避けるべきです。何度でも人生を簡単にやり直せるのなら致命的な失敗をしても気に病むことはありませんが、人生は一度きりです。だからこそ注意深い心がけが必要です。もちろん人それぞれの方法でみな工夫していることがあるはずですが、今回は私の工夫を紹介させてください。

致命的な失敗に対する私の考え方(全体像)

 まずは失敗に対して私が考えていることの全体像を共有させてください。致命的な失敗に関して、私は次のような考え方を持っています。

 以上が致命的な失敗に関して私が考えていることの全体像です。今回の記事では、上記Aに関してのみ書きます。上記BとCに関しては、またいつか別の機会に書きたいと思います。
 以下では、Aの「不幸にも致命的な失敗をしたときにどう対処するか?」について具体的に説明します。

不幸にも致命的な失敗をしたときにどう対処するか?

とにかく生き延びること

 誰でもここ一番の試合や受験で失敗したり、人生での大一番という勝負で大失敗することもあります。しかし長い人生で振り返ってみれば、たいていの場合には完全に再起不能になることはありません。でも再起不能ではないにしても、とてつもなく大きなダメージを負う失敗というのはあります。そんな致命的な失敗に遭遇したときに心にとめておかなければならないのはただ1つです。

◆とにかく生き延びること。衝動的に死を選ばないこと。

 心や体にあまりにも大きなダメージを負う失敗に遭遇すれば、誰だって衝動的に死を選んでしまう可能性は大いにあり得ることです。だからこそ、普段から何度も心に言い聞かせておかなければなりません。とにかく生き延びること。
 ちなみに、実際には致命的な失敗ではなかったとしても、失敗した当事者にしてみれば深刻なことが多く、とことん落ち込むことはよくあります。そんな時には何もかもが嫌になり、自棄(やけ)を起こしてしまいたくなります。そのような危険性はいつでもどこにでも潜んでいるので油断大敵です。普段から生きることの危うさを自覚しておくに越したことはありません。作家の五木寛之氏は次のように書いていますが、そのとおりだと感じます。

 繰り返しになりますが、とにかく生き延びること、衝動的に死を選ばないこと。誰でもいつでも注意しておかなければなりません。

パニックに陥ってもいち早く冷静さを取り戻すこと

 不幸にも致命的な失敗をしたときには、とにかく生き延びること、衝動的に死を選ばないことが大事だと書きました。そして、その点を日常から心に言い聞かせておくことも重要と書きました。それはそうなのですが、実際問題として厄介なのは、致命的な失敗を起こした瞬間に人はパニックに陥り冷静な判断ができなくなることです。だったらパニックにならなければいいのですが、それも土台無理な話です。それゆえパニックになるのは仕方がないとして、意識しておきたいのはパニックからいかに早く冷静さを取り戻すかということです。この点に関して私が参考にしている考え方をいくつか紹介させてください。

 パニックに陥り、我を失ったときにどうやって冷静さを取り戻すか。人ぞれぞれの方法がありどれが一番効果的ということもありませんし、そもそも、どれも言うは易しですが実行するとなると大変です。しかし、そういう経験をしてきた人たちの上記の言葉には説得力があるのも確かです。みなさまの参考になれば幸いです。

致命的な失敗に至る前に

 色々書きましたが、実際に致命的な失敗が起きた段階で対処するとなると難易度が相当高くなります。そのため、基本的にはそれよりも前の段階、すなわち、致命的な失敗に至らぬように常日頃から様々な工夫をしておく段階の方が大事です。これは最初に掲げた全体図ではBとCの領域です。これらは今回の記事で取り上げませんが、1つだけ参考になる考え方を紹介させてください。

 仮に目先の勝負に勝ったとしても大怪我をして深刻なダメージを負ったのなら元も子もないという考え方はとても参考になります。結局のところ成功か失敗かという観点よりも、重大なダメージを負うのか負わないのかという観点で考えておくことは、今後の長期的な継続可能性を想定するうえでとても重要なことです。

今回のまとめ

◆不幸にも致命的な失敗をしたときに最優先で考えるべきは次の2つ
 ①とにかく生き延びること。衝動的に死を選ばないこと。
 ②失敗直後のパニック状態を何としてもやり過ごし、いち早く冷静さを取り戻すこと。
◆怪我につながる負けはいけない。怪我につながる勝ちもいけない。

おすすめ図書

「やらかした時にどうするか」(畑村洋太郎)

 著者の畑村氏は失敗学で有名な方であり、失敗に関する多数の著作があります。本書はその中でも失敗をした本人がどのように立ち直ってその後教訓として生かしていくかに焦点を絞っています。まさに本書タイトルにもあるとおり「やらかした時にどうするか」という点を取り上げています。
 誰でもそうだと思うのですが、「やらかした時」には、できれば慰めの一つもかけて欲しいものです。理屈はいいから、とにかく立ち直れるように元気づけて欲しいと思うのが人情でしょう。そうはいっても慰め元気づけてくれる人がいつも都合よく周囲にいるとは限りません。そういう時には本書をお勧めします。私は本書の下記箇所だけでも結構慰められました。長くなりますが紹介します。

 上記以外にも失敗に対する様々な心構えは大いに参考になるでしょう。失敗で落ち込んでいる人にも、あらかじめ失敗に備えておきたい人にもお勧めしたい本です。

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ハットさん
ハットさん

「同じ石に二度つまずくほど不名誉なことはない」という諺があるそうで(出典「交渉力」ジョン・イリッチ)、それはそれでとても大事なことですが、一度目のつまずきで二度と起き上がれなくなることだってありますから、一度目のつまずきで大怪我をしないことにも注意したいものです。

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