名著「失敗の本質」から学ぶ(成り行きに任せるな)(全9回の3回目) #76

マネジメント

今回は「『失敗の本質』から学ぶ」の第3回目で「成り行きに任せるな」という話しをします。

 第74回から「『失敗の本質』から学ぶ」というテーマで連載しており、私が「失敗の本質」を読んで肝に銘じていること(8つ)を順にご紹介しています。今回は2番目「成り行きに任せるな」についてお話しします。

今回お伝えしたいことを最初に要約すると…

 今回お伝えしたいことを最初に要約すると、「失敗の本質」では日本軍の失敗要因として、次の点を指摘しています。
◆日本軍は成り行き任せの作戦を多用して失敗したこと。
◆その背景には、日本軍がいつも短期的な視点でしかものを考えていなかったことが挙げられる。言い換えると、いつも大きな展望を欠いていたこと。
◆結果として、兵力の逐次投入、補給・兵站の軽視、コンティンジェンシー・プランの欠如などの問題が露呈したこと。

 図にすると次のとおりです。

 以下では「失敗の本質」で書かれている具体的な指摘のいくつかを紹介します。

「失敗の本質」で指摘されている「短期決戦の戦略志向」

 日本軍の失敗要因として「失敗の本質」で指摘されていることの一つに、短期決戦の戦略志向があります。例えば、次のような指摘です。

 もちろん日本軍が短期決戦を志向した背景には物量的劣勢などの事情もあったと推測されます。そのことが心理的にも影響を及ぼしていたのかもしれません。「失敗の本質」の中でも次の記述があります。

 とにかく事情はあったにせよ、先の展開を考えて最終ゴール(落とし所)まで想定することはなく、成り行き任せの出たとこ勝負だったという印象がぬぐえません。 まとめると次のようになると考えます。

教訓としては成り行きに任せず出口戦略を意識しておくこと

 日本軍の失敗と同じ轍を踏まないためには、先人たちの次の言葉を常に胸に刻んでおくことが大事です。

 ちなみに、日本軍と相対した米軍は実に先々のことまで想定して戦っており、ため息が出るほどですが、このことは何も第二次世界大戦の時ばかりではなく、湾岸戦争でも同じだったようです。湾岸戦争でロジスティックの総指揮をとった米陸軍中将・パゴニス氏は自著で次のように書いています。

 こんなに先々のことまで考えている相手に対して成り行き任せの戦法が通用しないのは当然です。日本軍が負けたのは国力の差は当然としても、このような考え方の違いも要因としてあったと思い知らされます。

今回のまとめ

◆成り行きに任せるな(出たとこ勝負で戦うな)
◆最初に終わりまでの道筋と結果を明確に想定しておけ(出口戦略の明確化)
◆「なんとなく」とか「とりあえず」などの漠然とした見込みは失敗確率が高まる
◆ちなみに日本軍の失敗要因は下記のとおり

ハットさん
ハットさん

「成り行きに任せるな」というフレーズは、第35回目の記事(問題直面時の対応で分かれる部下の5つのタイプ)のおすすめ図書として紹介した「パーキンソンのビジネス金言集 129」(C・パーキンソン、M・ルストムジ)にも書かれていて、私の好きなフレーズの1つです。

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