名著「失敗の本質」から学ぶ(現場に丸投げするな)(全9回の6回目) #79

マネジメント

今回は「『失敗の本質』から学ぶ」の第6回目で「現場に丸投げするな」という話しをします。

 第74回から「『失敗の本質』から学ぶ」というテーマで連載しており、私が「失敗の本質」を読んで肝に銘じていること(8つ)を順にご紹介しています。今回は5番目「現場に丸投げするな」についてお話しします。

今回お伝えしたいことを最初に要約すると…

 今回お伝えしたいことはシンプルです。中央(本部)は決して現場に丸投げをしてはいけないということです。現場に丸投げしているといずれ組織が崩壊します。
 図にすると次のとおりです。

 以下では「失敗の本質」で書かれている具体的な指摘のいくつかを紹介します。

「失敗の本質」で指摘されている「現場への丸投げ」

 いつの時代でも中央(本部)が最前線の現場に丸投げという図式はありがちです。日本軍も例外ではなく、「失敗の本質」には次のような状況だったことが指摘されています。

 そんな丸投げ状態が横行していたにもかかわらず現場で何とかなっていたのは、日本軍の下士官以下が優秀でとことん頑張っていたからのようです。「失敗の本質」の中でも次のように書かれています。

 いつの時代でも現場の人は真面目なので、無茶苦茶な命令に対しても何とかしようと最大限の努力をするものです。ちなみに、野球でも、評論家の豊田泰光氏が昔を回想して次のように書いています。

 しかし、現場に丸投げで「なんとかしろ」と命令され必死に頑張るといっても、限度というものがあります。「失敗の本質」では次のような記述があります。

 軍隊の場合には、誤った命令に対して「無線機故障で聞こえません」ということ理由に命令無視をするという伝統的方法があるそうで、危機管理の専門家だった佐々淳行氏は「筆者も危機管理の現場で、実情のわからない後方の上級司令部からいかにも無理な誤った命令がきたとき、しばしばこの手法で規律違反にならないように命令無視を敢行したことがある」と言っています。軍隊や警察ではその伝統的方法を使用して一時的に凌ぐことはできるかもしれませんが、ビジネスの現場ではこの方法は使えません。そのため何が起こるかと言えば、病気などによる長期離脱とか退職による人員減です。とりあえずその場は乗り切ったとしても現場の従業員は疲労困憊になり、やがて現場は死屍累々になります。「失敗の本質」でも次のように指摘されています。

 無能な上司にとって現場に丸投げするという作戦は、知恵を絞る必要もないし、予算やもろもろの懸念事項もありません。実に安直な方法です。でも、こんなことをしていると確実に組織は崩壊します。

教訓としては「現場に丸投げするな」ということ

 日本軍の失敗と同じ轍を踏まないための教訓としては、現場に丸投げせず、組織として具体的で有効な対応策を考えることが大事です。

今回のまとめ

◆現場に丸投げは絶対にするな。
◆丸投げしているといずれ組織が崩壊する。

ハットさん
ハットさん

現場に丸投げしかできない上司でも、現場の部下が優秀だとなんとか乗り切ってしまい、その丸投げ上司がさらに出世するということが往々にしてあります。こうなると悪夢です。

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