今回のテーマは「マッキンゼーの7S」です
マッキンゼーで50年以上も使われている有名な「マッキンゼーの7S」というフレームワークがあります。私にとって、長年仕事でマネジメントを考える際に最も役に立った考え方の一つがこの「マッキンゼーの7S」です。もしかしたら私が会計士というそれほど一般的ではない立場で仕事をしていたから「マッキンゼーの7S」が役に立ったのだろうと思った方もいるかもしれません。しかし、そんなことは全くありません。組織の中のリーダー的な立場にある全ての人に役に立つ考え方です。一度理解しておくと実に重宝すること請け合いです。
「マッキンゼーの7S」とは
「マッキンゼーの7S」とは、結果として組織がうまく機能するための要件は何か、という観点で考えた結果、次の7つの要素に整理できるとする考え方です。簡単に言えば、組織がうまく機能するためには、次の7つの要素が整っていることが大事だということです。
①戦略(Strategy)
②組織(Structure)
③システム・仕組み(Systems)
④価値観(Shared Value)
⑤スタイル・行動様式(Style)
⑥人材(Staff)
⑦スキル(Skills)
私は自分が理解しやすいように次のような図にして考えることにしています。
簡単な例で説明すると
「マッキンゼーの7S」は、コンサルタントの人が書いた本ではたいてい紹介されているので目にしたことはあるかもしれません。しかし、どのように活用すればいいのか何となくイメージがわかない方もいるでしょう。そこで、簡単な例で考え方を説明します。
もしあなたがサッカーチームの監督に任命され、チームの再建を託されたとしましょう。誰でも自分が監督になったらこのチームをどんなチームにしたいという理想があります。その理想をイメージしながら、例えば次のようなことを考えるはずです。
①毎年優勝を狙えるような常勝チームにしたい。【戦略】
②でも勝敗だけにこだわるのではなくて、チーム全員の人間力を高めその姿勢も含めて観客に感動を与えたい。【価値観】
③試合では常に攻撃的なサッカーを貫きたい。【スタイル・行動様式】
④理想を実現するには、現状のメンバーでは無理で、チーム編成やフォーメーションから見直す必要がある。【組織】
⑤従来は攻撃的なスタイルを評価していなかったが、これからはスタイルを変える。だから、選手の評価基準・育成方針・スカウトの体制なども見直さなければならない。【システム・仕組み】
⑥目指すサッカーを体現するためにはどんなタイプの選手が必要か明確にする。【人材】
⑦どんなスキルを重点に高めていく必要があるのかも見直そう。【スキル】
こんな感じで考えることがまさに7Sで考えることなのです。7Sの考え方を理解してもらうために、架空のたとえ話で説明しましたが、何となくイメージできればそれで十分です。
7Sを考えるうえで重要なこと
先ほどは簡単な例で説明しましたが、日常の仕事でも考え方は同じです。あなたが課長でも、プロジェクトリーダーでも、事業部長でも、社長でも、自分が率いているチーム全体を機能させようとしたら、知らず知らずのうちに7Sの要素を考えているはずです。7Sのように整理した状態で意識的に考えていなかったかもしれませんが、それぞれの要素については考えています。そういう意味で、7Sのそれぞれの要素そのものには目新しさを感じないかもしれません。
ただ、7Sのフレームワークが優秀なのは、7Sの要素を単発で考えさせるのではなく、有機的な相互関係を踏まえた全体像として考えさせるところです。より広い視野から大局的に考えることができるようになるところが7Sの素晴らしいところです。言い換えれば、7Sで考える時に重要なのは全体感の中でとらえることです。決して1つ1つの要素を単発で考えることのないよう注意したいものです。
14回目の記事(分析における「全体の把握と絞り込み」)や17回目の記事(分析のゴール(メカニズムを明らかにして構造化する))で説明したように、全体との関係性や全体の構造を理解することは分析をする上で必須ですが、この7Sのフレームワークはまさにこの観点での見方を提供してくれるのです。
今後ぜひ7Sのフレームワークをご活用ください。
今回のまとめ
あなたが組織を束ねるリーダ的な立場で仕事をするのなら、組織全体をより機能させるために7Sの観点で大局的に考えるクセをつけましょう。
マッキンゼーの7Sについてはネットで検索すると解説記事がたくさん出てきます。もう少し詳しく知りたい方はぜひ調べてみてください。