「手抜き」には好ましいものと悪いものがあるが、問題は両者の見極めに無自覚なことが多いこと #104

マネジメント

今回は「『手抜き』には好ましいものと悪いものがあるが、問題は両者の見極めに無自覚なことが多いこと」という話しをします。

 前回第103回目の記事(作戦では常に残り時間を考えておくこと)の参考として「作戦立案ではメリハリをつけたペース配分が重要。だが実行するのは難しい」という趣旨のことを書きました。さらに実行が難しい理由として「メリハリをつけているのに怠けていると勘違いされることがある」ことも挙げました。今回の記事ではこの点を「手抜き」という視点で追加させてください。 
 具体的には、「『手抜き』には好ましいものと悪いものがあるが、問題は両者の見極めに無自覚なことが多いこと」という話しをします。

今回の記事で伝えたいことを先に要約すると…

 今回の記事で言いたいことを要約すると次のようになります。

◆適切にメリハリをつけるとは、結局のところ「捨てるべきことを捨てること」
◆でも、いざするとなると難しい。なぜなら…
 ➡ 何を捨てるかの判断が難しい。
 ➡ 仮に判断できても実行するには勇気がいる
 ➡ 「捨てること」すべてを悪者扱いする人がいる(生真面目ゆえだが…)
◆そもそも「手抜き」には、「好ましい手抜き」と「悪い手抜き」の2種類あり、「好ましい手抜き」はもっと推奨されるべき。
◆それなのに「手抜き」と見るや不真面目と感じて全否定する人がいる。さらに、そう思われるのが怖くて「好ましい手抜き」
できない雰囲気もある。
◆逆に、成果が出ていなくても一切の「手抜き」をせず真面目に頑張っていれば許されてしまう雰囲気もある。

 強調したいことは、「勇気をもって手抜き(好ましい手抜き)をしようね」ということ、前回の記事の表現でいえば「大胆にメリハリをつけようね」ということです。
 今回は前回の記事で言い足りなかったことを追加しただけであり、内容的には以上です。
 せっかくなので次項以降で「手抜き」に関するちょっと面白い文章を紹介しておきます。あくまでも紹介だけなので、忙しい人は無視して構いません。

戦略の決定と実行は「捨てること」と同義

 前回の記事では「残り時間が限定されているからこそメリハリあるペース配分が大事」というようなこと書きました。結局のところ、時間に限らず投入できる資源が限られている以上「捨てること」が重要になってきます。これはあまりにも当たり前のことなのですが、様々な場面であえてこのことを無視している現実があるように感じてなりません。そのため再確認しておきたく次の記事を紹介しておきます。

 「絞り込むこと」「捨てること」「メリハリをつけること」「ペース配分を考えること」、どのような表現でも構わないのですが、大事なことは「投入資源が限られているのだから重点ポイントに注力しよう。ゆめゆめ総花的に対応するのはやめよう」ということです。
 関連することを第62回目の記事(経営戦略の要諦は「絞り」と「集中」にある)にも書きました。興味があればお読みください。

「好ましい手抜き」は積極的にすべき

 「捨てること」は手を抜くことともいえるのですが、なんでもかんでも手を抜けと言っているわけではありません。「重要ポイントに注力し、それ以外は手を抜け」と言っているのです。それが本記事でいう「好ましい手抜き」です。「好ましい手抜き」は積極的に進めるべきですが、このことを再認識するために次の文章を紹介しておきます。

 なお、「好ましい手抜き」をできるようなるためには、場数を踏んで経験を積み重ねるしかありません。もちろん経験を積み重ねるといっても、「何も考えずにただ経験を重ねていく人」と「重要なポイントを考え、それを外さないように努力を続ける人」では、長期的には大きな差となります。一朝一夕にできることではありませんが、意識し続けることが大事です。

怠け心で手抜きをするな

 重要なポイント以外については意図的に手抜きをすることは、長期的な作戦では必須と言えます。しかしながら、悲しいことに誰しも弱いもので、ともすると怠け心から本来やるべきことまで手抜きをしてしまいたくなります。そんな弱い心を叱咤するために次の文章も紹介しておきます。

 すべてにおいて100%の力を注いでいたらいずれ潰れてしまうのは事実ですが、一方で、それがどんなに些細に見えるような小さなことであっても怠慢な理由から手を抜いてはいけないということです。長期的な作戦でエネルギーを温存することと単に怠慢なことは、まったく別物なのです。 
 外見的に両者を見極めることが大変難しい場面があるとしても、プレーをする本人だけでなく、プレーを見つめる第三者も常に意識しておかなければなりません。

今回のまとめ

◆メリハリをつけるとは、結局のところ「捨てること」

ハットさん
ハットさん

今回は、前回の記事の中の参考として書いたことに言い足りなかったことを追加しました。

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