プレゼンで最も大事なこと-心の底から伝えたい内容なのか #97

プレゼンテーション

今回は「プレゼンで最も大事なことは心の底から伝えたい内容を見つけること」という話しをします。

 社会人経験を数年重ねるうちに、パーティーや結婚式でスピーチを依頼されたり、何かの雑誌に寄稿文をお願いされたり、あるいは専門的な内容について人前で提案するなど、プレゼンをする機会が増えてきます。そんなときには、伝える内容もさることながら、ややもすると上手に話したり書いたりするなどのテクニックにばかりに気がとられがちです。しかし、最も大事なことは、その内容が心の底から相手に伝えたいことなのかどうかということです。今回はそんな話しをします。

今回の記事で伝えたいことを先に要約すると…

 今回の記事で伝えたいことはシンプルです。図にすると次のとおりであり、プレゼンの土台は「心の底から伝えたいこと」であると言いたいのです。

【プレゼンで大事なこと】

 プレゼンで最も大事なことは、説得や表現のテクニックではなく、内容が心の底から伝えたいことかどうかという点です。自分が心の底から本気で真剣に伝えたい内容なのかどうかが最も大切なのです。ただ問題は、心の底から伝えたいことがそう簡単には見つからないということです。とにかく徹底的に考え抜くしかありません。
 今回の記事でお伝えしたいことは以上です。以下では補足説明をしますが、これだけで十分という方はこれ以上読む必要はありません。

「心底伝えたいこと」が大事だと考えるようになったきっかけは…

 今回の記事の背景として、私がなぜ「プレゼンで最も大事なことは心の底から伝えたい内容を見つけること」と考えるようになったのか、そのきっかけを最初に説明させてください。
 私は、部下の結婚式でスピーチを頼まれることが多かったのですが、ある時点までは上手に話すことばかりを考えていました。しかし、野口悠紀雄氏の本で次のフレーズを読んでから考えが変わりました。2002年のことです。

 野口氏の上記本は書名のとおり文章の書き方について書かれており、「文章」が成功するかどうかの八割はメッセージの内容によると説明されています。この「文章」を「スピーチ」または「プレゼン」に置き換えてみてハッとさせられました。
 本書を読むまでは、結婚式のスピーチでも専門的な内容についてのプレゼンをするときでも、取って付けたような一般的な話しをしたり、場合によっては自分でも真剣に実行する気も起きないような、それでいて内容的には教科書的な正論をクライアントに対して提案したりしていました。言い換えれば、突き動かされるような熱い思いで伝えていたわけではありません。しかし、上記を読んでからというもの、話すテーマについて心の底から伝えたい内容は何なのかという観点で考えるようになりました。
 例えば結婚式の主賓スピーチでは、新郎新婦のご両親に対して本当に伝えたいエピソード、具体的には新郎(または新婦)が職場でこんなに頑張っていて、こんなふうにみんなから信頼されているんだよ、というような話しを披露するようになりました。
 また、仕事でクライアントの社長に改善提案する場合にも、心底本気で考えていることについて「この点についてはこんな風に改善した方がいいよ」と具体的に伝えるようにしました。
 もちろん個別具体的にリアルな話しをするとなると事前準備が相当大変になります。スピーチであれプレゼンであれ、ある種、当たり障りのない形だけの話しをテクニックで補った方がはるかに楽です。しかも一見うまくいったように見えます。しかし、自分が心の底から真剣に考えてもいないことを伝えるのは相手に対しても失礼だと感じるようになりました。
 それ以来、自分がプレゼンをするときにも、また他人に対してプレゼンのアドバイスをするときにも、心底どうしても伝えたい内容を話すことが最も大事だと考えています。

「心の底から伝えたいこと」が大事だと痛感させられる本のフレーズをご紹介

 ここで皆様にご紹介したい本のフレーズがあります。ある意味当たり前の内容ではありますが、プレゼンをするうえでとても重要な指摘であることも事実です。ぜひここでご紹介させてください。

 ここでご紹介したフレーズはいずれも当たり前の内容であり、特段驚きのある指摘ではありません。それでも、プレゼンをするうえでいつも肝に銘じておきたいものばかりです。そのためここでご紹介した次第です。

「心の底から伝えたいこと」を見つけるには考え抜くしかありません。

 ここまで読んで「プレゼンで最も大事なことは心の底から伝えたい内容を見つけること」という点に納得したとしても、問題はどうやって心の底から伝えたい内容を見つけるかです。先ほども書きましたが、これは簡単ではありません。悶々と考え抜くしかないのです。本当に苦しい時間ですが、この点は誰でも同じようです。例えばこんな感じです。

 スピーチであれプレゼンであれ、心の底から本気で伝えたい内容を見つけるまでのプロセスは「生みの苦しみ」なのです。でも、この苦しみを経ない限り、相手に響くようなプレゼンは決して出来ません。

今回のまとめ

◆結婚式のスピーチであれ、改善提案のプレゼンであれ、その内容が心の底から伝えたいことが大事。
◆説得や表現のテクニックに走っても、こちらが心底伝えたいという真剣な内容でない限り相手には響かない。
◆心の底から伝えたいことを見つけるにはひたすら考え抜くしかない。

【プレゼンで大事なこと】

おすすめ図書

『「超」文章法: 伝えたいことをどう書くか』(野口悠紀雄)

 記事本文でも紹介しましたが、「プレゼンで最も大事なことは心の底から伝えたい内容を見つけること」と考えるようになったきっかけは本書です。本書のプロローグには次のように書かれています。

 本書は、文章を書くうえでもプレゼンを学ぶうえでも示唆に富む指摘が満載です。今回の記事で紹介した第1章だけでなく、他にも参考になることがたくさん書かれています。出版時期は2002年なので、20年近くも前の古い本ではありますが、ぜひ一読をお勧めいたします。
 なお今回のテーマとは関係ないのですが、第20回の記事(分かりやすい説明のための心構え)でも本書のフレーズを1か所紹介しています。興味のある方はご参照ください。

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ハットさん
ハットさん

「心の底から真剣に伝えたいこと」を突き詰めてくださいね。

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