説明・プレゼンで使える4つのフレームワーク #44

プレゼンテーション

今回の記事では説明・プレゼンで使える4つのフレームワークを紹介します

 今回は、説明・プレゼンをするときに覚えておくと必ず役に立つ形式(フレームワーク)を紹介します。結論を先に言うと、分かりやすい説明・プレゼンをするためには、次の4つのいずれかの形式(フレームワーク)を活用すると上手くいきますよということです。

(出典)「世界最高の話し方」(岡本純子) (注)見栄え等でハットさんが若干の改変をした

 以下では4つの形式(フレームワーク)を簡単に説明します。

説明・プレゼンの基本形(SDS法)

 まずは説明・プレゼンの基本形です。基本形はシンプルな3部構成で、①冒頭で結論・要約(Summary)を伝え、②その次に詳細(Details)を説明し、③最後にもう一度結論・要約(Summary)を繰り返す、という形式です。この形を「Summary、Details、Summary」の頭文字をとってSDS法と呼ぶこともあります。

 ポイントは次のとおりです。
 ①冒頭と最後に結論・要約を持ってくるので聞き手は理解しやすい。
 ②3部構成なのでシンプル

 分かりやすい説明・プレゼンをするためにこの基本形だけで事足りることも多いのですが、基本形からさらに発展させた応用形3つも覚えておけば、ほとんどの説明・プレゼンに対応できます。応用形は、基本形の「中身・詳細」に相当する部分を工夫したもので、状況に応じて使い分けるといいでしょう。応用形については以降でご紹介します。

説明・プレゼンの応用形その1(PREP法)

 応用形の1つ目は、①冒頭で結論(Point)・要約を伝え、②次に理由(Reason)を説明したうえで、③具体例(Example)を紹介し、④最後にもう一度結論(Point)・要約を繰り返す、という形式です。この形を「Point、Reason、Example、Point」の頭文字をとってPREP法と呼ぶこともあります。

 ポイントは次のとおりです。
 ①「なぜなら~」という理由・根拠が明示されているので説得力が増すこと
 ②具体例があるので分かりやすいこと

 PREP法は説明・プレゼンでは王道のスタイルと言ってもいいでしょう。これを使いこなせれば説明・プレゼン上手の仲間入りです。

説明・プレゼンの応用形その2(3つ列挙法)

 応用形の2つ目は、①冒頭で結論(Point)・要約を伝え、②その次に3つの項目を列挙して説明し、③最後にもう一度結論(Point)・要約を繰り返す、という形式です。この形式に特別な名称はないのですが、本記事では分かりやすく「3つ列挙法」と呼んでいます。

 ポイントは次のとおりです。
 ①中身(詳細)の説明として挙げられる項目が3つなので、聞き手からするとすんなり頭に入ってくること

 説明・プレゼン上手な人になると、2つしか項目が思い浮かばない場合でも、まずは「3つあります」というように先に宣言しておき、説明中に後から最後の1つを考え出すようなテクニックを使うこともあります。

説明・プレゼンの応用形その3(問題・解決法)

 応用形の最後、3つ目は、①冒頭で結論(Point)・要約を伝え、②その次に「こんな問題があります」というような問題点を提示し、③それに対して「こんな解決策があります」というような解決案を提案し、③最後にもう一度結論(Point)・要約を繰り返す、という形式です。この形式も特別な名称はないのですが、本記事では分かりやすく「問題・解決法」と呼んでいます。

 この問題・解決法での説明・プレゼンが成功するかどうかは次の点にかかっています。
 ①提示した問題点が聞き手にとって納得・共感できるものであること
 ②解決策に実効性があり、かつ、実行可能と思わせるものであること

 上記2つのポイントをうまく満たすような説明・プレゼンであれば、聞き手は「そうだそうだ」と納得してくれる可能性が高くなります。

実践に向けた参考として齋藤孝氏が提唱する「上手な説明の基本構造」を紹介します

 以上、分かりやすい説明・プレゼンをするための形式(フレームワーク)として、1つの基本形と3つの応用形の合計4つの形式をご紹介しました。実際に説明・プレゼンをするときには自分なりに工夫してこの4つの形をうまくアレンジすればよいでしょう。
 最後に、実際にアレンジする際の参考として齋藤孝氏が自著の中で紹介している「上手な説明の基本構造」を紹介しておきます。

 今回は分かりやすい説明・プレゼンをするための形式(フレームワーク)をご紹介しました。ぜひ今後ご活用ください。

今回のまとめ

分かりやすい説明・プレゼンをするためには、次の4つの形式(フレームワーク)を活用するとよい。

(出典)「世界最高の話し方」(岡本純子) (注)見栄え等でハットさんが若干の改変をした

おすすめ図書

「世界最高の話し方―1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた! 「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール」(岡本純子)

 今回の記事で紹介した分かりやすい説明・プレゼンをするための4つの形式(基本形1つ、応用形3つ)は、上記本からアレンジした内容になりますが、それ以外にも本書では「話し方のスキル」を広範にわたってアドバイスしてくれる本です。なにしろ出版社の宣伝文句には『「雑談」「プレゼン」「説得」「説明」「ほめ方」「叱り方」、話し方にまつわる全スキルが、たった1冊で身につく』と謳われています。確かにこの宣伝文句は大げさともいえず、話し方に関する様々なテクニックを教えてくれる本です。
 本書は、イラストが随所にちりばめられたり、重要な箇所にあらかじめ青色でマーカーが引かれていたりと、レイアウトがとても工夫されていますので、大変読みやすい外見に仕上がっています。そのため時間をかけずにさっと読めるのですが、実はとても大事なことが書いてあり、うっかりするとさっと一読しただけで終わりにしてしまうことを危惧します。1回目はさらりと読み終えていいのですが、2回3回とじっくり読み返して欲しい本です。そうしないと本書で書かれていることは身につかないでしょう。

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「頭のよさとは「説明力」だ」(齋藤孝)

 この本は、無意識なのに説明力が高い人は確かに頭がいいかもしれないが、実は説明力なんて訓練次第で誰でも身につけられるよね、ということを平易な文章で教えてくれます。
 ところで、説明やプレゼンのテクニックについて書かれた本は世の中にたくさん出版されています。一見すると、他の多くのプレゼン指南本の方が体系化されたスキルを教えてくれ、即効性があるように思えるかもしれません。一方、本書は、さっと読むと体系化されていない印象があり、まとまりなく散漫に書かれているようにも感じるかもしれません。しかしながら、よくよく読んでみると、ある種小手先の説明力を高めるための本ではなく、思考力や仕事力を全般にわたって高めるための本なのだと気がつきます。この点に気がつかずにさっと読んで済ませてしまうと、「とても分かりやすい本でした」くらいの感想で終わる可能性もある本です。そういう意味では、本書を読んだところで一過性の効果しか得られない人もいるかもしれませんが、逆に、齋藤氏が提案する考え方を体に仕込むくらいに徹底して覚えさせると今後の一生でとても役に立ちます。ぜひお勧めしたい本です。

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「アイディアの神が降りてくる 「3」の思考法」(齋藤孝)

 本書はどんなことでも3つに分類するという考え方を実践的に教えてくれる良書であり、今回の記事で紹介した「3つ列挙法」を活用する上でとても参考になります。もちろんこれまで齋藤氏の著作をたくさん読んできた人にとっては、内容的にそれほど目新しいことはないのかもしれません。それにしても、どんなことでも3つに分類するという考え方を切り口にして、これまで自著で提唱してきた内容をまとめ直すという発想に感心します。「3」の思考法というテーマで1冊の分量の本としてまとめたその力量はさすがとしか言いようがありません。
 それはともかくとして、「3つ列挙法」の説明形式を学ぶ上でも、また、仕事術全般に関する広範なスキルを学ぶ上でも本書はとても有益です。

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メモ

【役に立つ考え方を紹介した記事が他にもあります】
 プレゼンをする際に役に立つ考え方として、第89回目記事(プレゼンの際に留意すべき8つの項目「IKPOPECE(イクポぺス)」とは)にも関連することを書きました。お時間が許す方はぜひこちらもあわせてお読みください。

ハットさん
ハットさん

今回の記事は形式の話しでしたが、説明をする上での心構えについては第20回目の記事(分かりやすい説明のための心構え)で説明しています。こちらもぜひ合わせてお読みください。

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