中村天風「運命を拓く」と共に困難に挑む #60

座右の名著(いつかあなたを救う本)

今回は中村天風「運命を拓く」という本を紹介します。

 今回は中村天風「運命を拓く」という本の紹介記事になります。
 中村天風氏については「運命を拓く」だけでなくたくさんの著作が出版されており、大きな書店のビジネス書や自己啓発書コーナーに行くと、たいてい山積みになって販売されています。そのため、もし今まで中村天風氏の著作を読んだことがないとしても中村天風という名前くらいは知っているかもしれません。また最近では、メジャーリーガーとして大活躍している大谷翔平選手も学生時代に読んでいた本として取り上げられることも多いのですが、とにかくロングセラーなのでこのブログの読者の方々の中にもすでにいくつかの著作をお読みの人がいるかもしれません。
 いずれにしても、今回は中村天風「運命を拓く」を紹介させてください。

「運命を拓く」をどんな人に読んで欲しいか?

 「運命を拓く」がどんな本なのかは後ほどご紹介するとして、まずはこの本をどんな人に読んで欲しいのかをお話しさせてください。どんなに良書であっても、読むタイミングとか読み手の置かれている状況・バックグラウンドによって、その人の琴線に響くかどうかは変わります。
 「運命を拓く」は、現在大きな困難に直面し深い悩みと向き合っている人にこそ読んで欲しい本です。元気な時や平穏な時に読んでも「ふーん」という程度の感想で終わってしまう可能性もありますが、何かに悩んで出口が見えないときに読むと突破口が見つかるかもしれません。

「運命を拓く」にはどんなことが書かれているか?

 「運命を拓く」は文庫本版で332ページからなるそれなりに分量のある本ですが、著者が首尾一貫して言っていることは至ってシンプルです。突き詰めると次の3点です。

 言われてみれば、ことさらすごいこと言っているわけではなく、どんな宗教や自己啓発書でも書かれているような常識的な内容です。それを本書では、あの手この手の言い方で繰り返し繰り返し説いています。もともと本書は中村天風氏が講述したものを氏の語り口・迫力などをできるだけ再現した形で出版したとのことなので、読んでいるうちに中村天風氏の勢いに引き込まれ感化されていくのは確かです。だからこそ読後感として「元気をもらった」「生きる力がわいてくる」「前向きな気持ちになった」などというような気持ちになる人が多いのでしょう。

 ただ、次の2点で問題もあります。
①読後に一時的に感化されたとしても、日常的に継続して実践できるかどうか?
②死に直面する病や大惨事で家族・財産を失うなどあまりにも悲惨な状況下にある人が読んだ時に中村氏の主張を素直に受け止められるかどうか?

 特に上記②については、苦しい状況下で「病になっても感謝しなさい」「どんなときも消極的に考えるな」とか言われても、頭では理解しつつ気持ちとしてそう簡単には受け入れられません。その点については、各自で修練し乗り越えていくしかないわけですが、いずれにしてもダメ元で本書を読んでみる価値はあると考えています。

「運命を拓く」から具体的なフレーズのご紹介

 先ほど「運命を拓く」で書かれていることは突き詰めるとシンプルだと紹介したのですが、これだけの説明で終わると、本書の持つ雰囲気が全く伝わりません。そこで、今回は私が気に入って繰り返し読むフレーズのうち、ほんの一部だけをご紹介します。なんとなく雰囲気を感じてもらえれば嬉しいです。

 以上、中村天風氏の「運命を拓く」をご紹介しました。もしご興味がわいたようであれば本屋で手に取って見るだけでも見てください。

コーヒーブレイク

【私と「運命を拓く」との関係】
 「運命を拓く」の内容からは脱線しますが、私の人生において「運命を拓く」がどのように係わってきたのかの一端を披露させてください。
 人生の節目節目の困難で思い悩んだ時、私は「運命を拓く」の中のどこかに困難を乗り越えるきっかけになる言葉があるのではないかと探し出し、それを実践するように心がけてきました。
 自分が困難に直面した時だけではなく、家族のだれか、例えば、義母や母などが深刻な病気になった際にも「運命を拓く」をプレゼントして、熟読するようにお願いしてきました。
 具体的には、私の義母が悪性リンパ腫で余命7か月を宣告された時、母が癌で余命1か月を宣告された時、私自身も癌になり手術した時、私の長年の知人が白血病で闘病している時など。
 それぞれが「運命を拓く」を熟読し、その考え方に共鳴しその生き方を実践してきたと言っても、義母も母も最期は病気で亡くなっています。ただ少なくとも言えることは、読んだことによって人生にプラス効果があったのだろうということです。義母は余命宣告後に19年間生き抜きましたし、母は余命1か月といわれながら4か月生き抜きました。
 だからといって短絡的に「運命を拓く」が魔術のように難病に効くとか言いたいわけではありません。そうではなくて、やはり心の持ち方は自分の命を左右するほど大事なことであり、そのために「運命を拓く」の考え方は心の支えになってくれるよと言いたいのです。
 つい先日、白血病で現在入院闘病中の知人と電話で話しをしました。彼は39度の高熱が毎日続く中で抗ガン治療を行っています。現在は肺炎も発症しています。そんな彼が「天風さんの言うことは分かるけど、こんなに身も心もつらい時に『病気にも感謝しろ、マイナスのことは一切考えるな』と言われても無理ですよ」と言っていました。そのとおりだと思います。しかし一方で彼はこんなことも言っていました。「だけど天風さんの言っていることを少しでも実践できるように心がけている」と。
 彼も、私も、どんな形で人生を終えるのかは分かりません。ただ少しでも心を前向きにして直面する困難に挑んでいきたいとの思いを持って生きています。その伴走者となってくれる1冊が私にとっては「運命を拓く」なのです。

今回のまとめ

◆人生では常に心を積極的な状態にしておくことが大事。
◆マイナス感情をくれぐれも自分の中に取り込まないように注意しなければならない。
◆願望はあたかもそれが実現したかのようにありあり思い浮かべること。そうすると本当に実現する。

そんなことを言い聞かせてくれるのが中村天風氏の「運命を拓く」です。
何がしかの悩みに向き合っている方にお勧めします。

おすすめ図書

①「ほんとうの心の力」中村天風
②「折れない心」中村天風

 中村天風氏の著作は数多くありますが、基本は今回の記事本文で紹介した「運命を拓く」です。私としてはこの本1冊だけを繰り返し読むのが良いと考えています。ただし、「運命を拓く」を読むうえで若干懸念するのが、言い回しの古びた感じです。気にならない人にはまったく気にならないのですが、人によっては読みにくさや取っつきづらさを感じる可能性があります。特に若い人や読書習慣があまりない人にとっては馴染みにくいかもしれません。そういう人の入門書としてお勧めしたいのが上記①「ほんとうの心の力」と②「折れない心」です。
 ①の方は中村天風氏の色々な著作から代表的な項目を集め、各項目が見開き2ページで書かれています。好きな項目から読み始めることができますし、どの項目も2ページしかないのでさっと読めます。
 また、②の方は、見た目で親しみが持てるように工夫してあり、読むうえでのハードルがとても低くなっています。もちろんそのために読み慣れた読者からするとやや軽薄な印象を抱く可能性もありますが、最初の1冊と考えれば問題ないでしょう。
 「運命を拓く」を読んだところ馴染めなかった人は、それで中村天風氏の著作を毛嫌いするのではなく、まずは①か②でもう一度試していることをお勧めします。

Bitly
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①「力の結晶 中村天風真理瞑想録」中村天風
②「幸福なる人生 中村天風「心身統一法」講演録」中村天風
③「心を磨く 中村天風講演録」中村天風

 「運命を拓く」を読んだ結果、中村氏の教えに関心を抱きもっと触れてみたいと思った方には、上記3冊をお勧めします。どれもテイスト的には「運命を拓く」と同じです。内容的にも若干重複感はありますが、大事なことを繰り返し繰り返し分かりやすい表現で強調してもらえると思えば、逆にありがたいことです。
 なお、個人的な好みで言えば、私は①の「力の結晶」が好きです。ただし、これは好みの問題であり、内容的にどれが一番とかいうことはありません。書店などで現物を見比べたうえで惹かれる箇所があるようならばお読みください。

Bitly
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ハットさん
ハットさん

私は「運命を拓く」を単行本・文庫本・Kindle版の3つとも持っています。挫けて弱気になっているときに読むと元気になりますよ。

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