謝罪の仕方(謝罪で重要な6つのこと) #30

コミュニケーション

今回は謝罪の仕方について説明します

 日常生活でも仕事でも謝罪をしなければならない場面はたくさんあります。さらに仕事でしかるべきポジションに就くようになると、自分の行為だけでなく部下や組織全体の行為に関しても謝罪をしなければならない機会も増えてきます。組織を代表して謝罪しなければならない場面などは時として非常に気の重くなることですが、リーダーとして避けて通ることができません。謝罪すべきことがあれば真摯に謝罪をし、壊れた信頼関係を直ちに修復することが大事です。
 そのため、今回の記事では謝罪の仕方について説明しようと考えた次第です。

謝罪で重要な6つのこと

 謝罪の仕方について正式に決まりがあるわけではありません。謝罪の仕方は人それぞれですし、その謝罪に対しての感じ方もまた人によってさまざまでしょう。私が考える謝罪で重要なことは6つあります。最初にその6つを示すと次のとおりです。

 以下で順に説明しましょう。

どんな事象(出来事)に対して謝罪するのか?(事実認識)

 謝る対象(内容)がズレていたら、いくら謝罪したところで相手は納得しません。事件があった際の謝罪会見などでありがちなシーンとして「お騒がせして誠に申し訳ございませんでした」とか「不愉快な思いをさせてしまい遺憾に存じます」のような謝罪フレーズを聞くことがありますが、これでは相手を怒らせるだけです。どんな事象(出来事)に対して謝罪するのかということを謝る側がきちんと認識したうえで、その認識が謝罪相手の認識と一致していることが大事です。怒らせてしまった内容を的確に認識して謝罪すること。そうしないと相手の怒りは収まりません。
 なお、事実認識という点に関して補足すると、何が問題だったのかは次の3点に分けて考えるべきです。
 ①事象(事実)が問題だったのか(行いが悪かったのか)
 ②自分の考え方(意見)が問題だったのか(考え方が悪かったのか)
 ③自分の言い方(発言・伝え方)が問題だったのか(言い方が悪かったのか)

 例えば、何かのハラスメントに関して謝罪をして欲しい場合、ある特定の行為がハラスメントにあたるからやめてくれなのか、その出来事そのものよりも日常の考え方がいけないから改めてくれなのか、それとも今回の行為や考え方を問題にしているというよりは今回の言い方があまりにも礼を失したものだから撤回してくれということなのか、ポイントによって謝罪の内容が変わるはずです。それが分かっているのに意図的にあいまいにして謝罪するケースもあるかもしれませんがそれは言語道断であるし、また、何がポイントになっているのかよく分からないにもかかわらず、とりあえず形だけ謝罪だけしておくというスタンスも火に油を注ぐ結果になる可能性大です。

なんでそんなことになったのか?(経緯・原因)

 相手の怒りの程度は、どんな経緯・原因でそういう事態が引き起こされたのかによって大きく左右されます。単なる不注意や軽はずみな行動が原因なら相当な謝罪をしないと許してもらえないし、逆にそれなりに同情すべき事情があれば比較的容易にご納得いただけるかもしれません。また、なんでそんなことになったのかという経緯や原因を明確に把握しておかないと今後に向けた有効な再発防止策も提示できません。したがって、経緯や原因を適切に把握したうえで誠実かつ正直に説明して謝罪すべきというのが今までの経験上から得た私の考えです。

いつ謝るのか(謝罪のタイミング)

 謝罪のタイミングは早ければ早いほどいいと言えます。もちろん詳細な事態の把握をするまで軽々しく謝罪をできない状況もあるかもしれません。そういうケースにおいては、謝罪までにある程度の時間を要するかもしれませんが、だからと言ってタイミングを大幅に逸してからの謝罪は逆効果しか生まないと認識しておいた方が無難です。すべてが判明するまで謝罪を保留するよりは、現時点で分かっていることを明確にしたうえでその前提をもとにできるだけ早期に謝罪する方が相手に対して誠意が伝わることが多いとの認識です。

深い反省の気持ち(心からの謝罪)

 謝罪をされる側の立場に立った人は誰しも同じことを感じると思いますが、反省の感じられない謝罪(形だけの謝罪)なら余計に怒りがこみあげてきて許せないでしょう。当たり前のことですが、謝罪をする場合には深い反省の気持ちをもって行うべきです。

償い

 どういう形で償いをするのかはケースバイケースで一律的に決められるものではありませんが、いずれにしても何らかの形で償いをしないと相手の気持ちは収まらないものです。謝罪に際してはそのことを念頭に置いておくべきです。

二度と起こさないという約束(再発防止)

 誰でも嫌な思いをしたら二度と同じようなことをされたくないし、また自分だけでなく他人にも同じような嫌な思いをして欲しくないと思うものです。それに、本当に反省しているなら二度と同じ過ちはしないと約束して欲しいとも思います。だから、謝罪では二度としないという再発防止策を併せて提示することが大事です。

 以上が謝罪で重要と考える6つのことでした。

 なお、これ以外にももちろん言い方や表情・態度・服装など謝罪をするときに注意すべきことはあります。いずれもポイントは相手の気持ちになって考えてみることです。

 最後に。謝罪をしなければならない事態にならないようにすることが一番大事ですが、どんなに注意していてもそれは不可能です。謝罪をしなければならない場面に至ってしまった場合には、潔く謝罪・反省することで結果的に自分も救われることになると考えます。

コーヒーブレイク

アーロン・ラザール教授提案の謝罪法
 今回のテーマである謝罪に関して、スタンフォード大学オンラインハイスクール校長の星友啓氏のベストセラー「スタンフォード式 生き抜く力」の中からぜひ紹介したい謝罪法があります。それは、「究極の謝罪法-「謝る力」の3つの基本と7つの目標」として紹介されているアーロン・ラザール教授提案の謝罪法です。以下ポイントだけ私が抜粋しました。今回私が提案した6つの事項とともにご参考にしてください。

 マサチューセッツ大学メディカル・スクール長を務めたアーロン・ラザール教授 (1936-2015) の 『On Apology (謝罪に関して)』は、謝罪の仕方に関する「古典」 的な位置づけの本になっています。
 ラザール教授提案の謝罪法から、最も大切な3つのポイントをまとめてみます。
 ①してしまったことが何かを、謝る側がはっきりと認める
 ②謝る側が謝られる側の苦しみや不都合を認め、心からわびる気持ちを伝える
 ③ つぐないを表したり、問題解決や今後の防止策を提案したりする

 (途中省略)

 こうした謝罪の3つの基本を押さえたうえで、 ラザール教授は「効果的な謝罪は次の7つの目標のうち少なくとも一つを達成すべき」といいます。
1 謝られる側の尊厳を回復する
2 謝る側と謝られる側で、今回の被害を了解し合う
3 謝られる側に責任がないことを確認する
4 今回の行為が繰り返されないことが確約される
5 謝る側が受ける罰を、謝られる側が了解する
6 謝られる側がつぐないを受ける
7 謝られる側が謝る側に対し、気持ちを伝える

 この7大目標が少しでも多く達成されるよう、相手の気持ちを感じ取る 「共感する力」 で、自分の行為の結果、相手がどんな気持ちになったかを考えましょう。
 そのうえで、相手のために考える「与える力」を発揮して、謝罪の仕方を工夫してみてください。
(出典)「スタンフォード式 生き抜く力」星友啓

今回のまとめ

謝罪をする際に重要な6つのことは次のとおり。

ハットさん
ハットさん

相手に申し訳ないことをしたら誠実に謝ることが大事ですよね。

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