交渉の7つの要素(ハーバード流交渉術)#4

交渉術・説得術

交渉のコツは自己流ではなく「交渉の7つの要素」で考える

 人は、日常生活においても仕事においても毎日何かしらの交渉をしています。例えば、家族間で夏休みに行く旅行先の選定交渉をしたり、買い物で店員さんと条件交渉したり、仕事でクライアントと契約交渉したり。交渉の中にはそれほど神経質になることもない軽い交渉もありますが、会社対会社の交渉や国対国の交渉のようにその結果次第で今後の将来が大きく影響を受けるような気が重くなるようなものもあります。そしていつか誰でもそのような重要な交渉をする可能性があるのです。それにもかかわらず、たいていの人は交渉について系統だって学んだ経験は乏しいはずです。なぜなら、交渉についての方法論をきっちり学ぶ機会がないからです。そのため、多くの人は自分で経験を積み重ね、自己流で交渉のコツを身に着けていくしかありません。私もその一人でした。会計士として、深刻な事態での交渉を何度となく経験し、交渉のコツを自己流でノウハウとして蓄えてきました。
 ところがある時、ハーバード流交渉術の「交渉の7つの要素」を知り、まさに「目から鱗が落ちる」ような衝撃を受けました。交渉に向けての確固たる方法論を手に入れたのです。それ以来、どんな交渉に臨むときも「交渉の7つの要素」をもとに作戦を考え、交渉が終わるまでいつも「交渉の7つの要素」のことを考え続けるように心がけています。

交渉の7つの要素とは?

 「交渉の7つの要素」については、国際弁護士の射手矢好雄氏が著書「ふしぎとうまくいく交渉力のヒント」(齋藤孝氏と射手矢好雄氏の共著)の中で実に分かりやすい説明をしてくれています。私は、この射手矢氏の著書で「交渉の7つの要素」の考え方と使い方を勉強しました。射手矢氏の著書については、皆様にもぜひとも一度お読みいただきたいのですが、今回はエッセンスをご紹介しましょう。

 ハーバード流交渉術の「交渉の7つの要素」とは、交渉を構成する次の7つの要素のことをいいます。

①Interests(利益)
②Options(選択肢)
③Legitimacy(= Standards, Criteria)(根拠、基準、正当性)
④Relationship(関係性)
⑤Communication(コミュニケーション)
⑥BATNA(Best Alternative To a Negotiated Agreement )→ 交渉決裂時にとるべき最善の代替案
⑦Commitments(合意) → 絶対に譲れない要求

 7つの要素それぞれのもう少し詳しい説明は後ほどしますが、射手矢氏の著書にある「交渉の7つの要素」の全体像の図が秀逸なので、何はともあれその図を先に紹介させてください。次の図は、射手矢氏が著書で記している図に私が一部追加補正をしたものですが、この図を頭に入れておくと、「交渉の7つの要素」のそれぞれの意味や関係性が理解しやすくなります。

(出典)「ふしぎとうまくいく交渉力のヒント」(齋藤孝×射手矢好雄)のP27の図を基にハットさんが一部加工した。

 それではこれから「交渉の7つの要素」のそれぞれについて、射手矢氏の解説を引用しながら説明を進めていきます。

交渉の本丸である①Interests(利益)、②Options(選択肢)、③Legitimacy(根拠)とは?

 まずは交渉の本丸ともいうべき要素、①Interests(利益)、②Options(選択肢)、③Legitimacy(根拠)から始めます。射手矢氏は次のように説明しています。

①利益
 「自分はこの交渉でなにを実現しようとしているのか」「自分にとって本当に大切なものはなにか」を指します。もちろん自分だけでなく、交渉相手にも〈利益〉があります。
②オプション
 自分の〈利益〉を実現するための選択肢を指します。いわば、「どんなやり方があるか」ということです。こちらも同じように、交渉相手にも〈利益〉を実現するための〈オプション〉があります。
③根拠
 その〈オプション〉を取る理由のことです。「自分はなぜその方法を取るのか」には、必ず理由があるはずです。その〈根拠〉を具体的かつ明確にすることで、選択の際に生じがちな「思い込み」をなくすことができます。

(出典)
「これが中国のルールだ」国家マウントしてくる中国企業に国際弁護士が突きつける”奥の手”ちゃぶ台返しには「BATNA」というカードを切る
射手矢 好雄(国際弁護士)PRESIDENT Online 2022/06/28

 交渉に向けて作戦を練る場合、最低でも①Interests(利益)、②Options(選択肢)、③Legitimacy(根拠)に関して、自分と交渉相手の両者について想定される内容をすべて洗い出しておくことが大切です。

交渉がうまくいくために交渉本番以外でとても大事なこと、それが④Relationship(関係性)と⑤Communication(コミュニケーション)

 実際の交渉の場面においては、相手との直接的な交渉時間のほとんどは①Interests(利益)、②Options(選択肢)の議論に費やされているかもしれませんし、事前準備の段階でも①Interest(利益)、②Options(選択肢)、③Legitimacy(根拠)の検討に多くの時間が割かれているかもしれません。しかしながら、多くの交渉を経験してきた私の実感に照らして言えば、相手とやりあう段階で①Interests(利益)、②Options(選択肢)、③Legitimacy(根拠)に関してあれこれ作戦を練っても時すでに遅しのことが多い印象です。
 むしろこれから説明する④Relationship(関係性)、⑤Communication(コミュニケーション)に関して、かなり早い段階から入念に作戦を考えて、本丸の議論に入るずっと前の段階でうまく立ち回っておく方が交渉は断然うまくいく可能性が高まります。射手矢氏の説明を見てみましょう。

④関係
 自分と交渉相手が「どんな関係にあるか」です。例えば、交渉をはじめる前に、長年いい関係性が築かれている場合もあれば、関係がよくないために交渉開始時点からこじれていることもあるでしょう。交渉の中核ではないものの、〈関係〉は交渉にインパクトを与える要素といえます。
⑤コミュニケーション
 交渉中は、相手の〈オプション〉などが変化することがふつうです。すると、「相手はいまなにを考えているのか」を、その都度相手から探り出さなければなりません。そのための手段が、相手との〈コミュニケーション〉であり、交渉外の場所でも〈コミュニケーション〉をはかっていくことが重要になります。

(出典)
「これが中国のルールだ」国家マウントしてくる中国企業に国際弁護士が突きつける”奥の手”ちゃぶ台返しには「BATNA」というカードを切る
射手矢 好雄(国際弁護士)PRESIDENT Online 2022/06/28

 国家間の交渉などでも激しい交渉に入る前に晩さん会や食事会などで関係構築やコミュニケーションを高めるような様々な工夫をします。その方がお互いに交渉がうまくまとまる確率が高まるからです。そのためには交渉本番よりもずいぶん前から準備と活動をしておくことが必要になります。したがって、交渉に向けた作戦を考えるうえでは、④Relationship(関係性)、⑤Communication(コミュニケーション)については、十分な時間・手間や予算がかかることに留意しておくべきです。

交渉決裂時に起きることを事前に想定した⑥BATNAとは?

 交渉に向けてどんな準備をして交渉がうまくまとまるように進めてきたとしても、お互いの力関係によっては、力のある方が自分の要求どおりに一方的に押し切ってしまうことも多々あります。そうならないためにも交渉で切り札となるのが⑥BATNA(バトナ)です。強力なBATNAを持ちうるかどうかは交渉の行方を大きく左右します。その⑥BATNA(バトナ)とは何かということになりますが、射手矢氏は次のように説明しています。

「この交渉が成立しなかったら」を考えておく
 ⑥BATNA 〈BATNA〉(バトナ)は、Best Alternative To a Negotiated Agreementの略で、交渉が成立しないときに取るべき「最良の代替案」を指します。「それがダメでもこの手があるさ」ですね。交渉するときはつねに、「この交渉が成立しなかったらどうするか」を考えて、交渉に臨むことが大切です。

(出典)
「これが中国のルールだ」国家マウントしてくる中国企業に国際弁護士が突きつける”奥の手”ちゃぶ台返しには「BATNA」というカードを切る
射手矢 好雄(国際弁護士)PRESIDENT Online 2022/06/28

 BATNAとは、交渉決裂時に自分がとり得る代替案の中で最も良い案です。

 BATNAをより具体的にイメージしてもらうために、1つの例として、車を購入するときのケースで説明しましょう。いま、Aというディーラーの扱っているある車が欲しいのでディーラーAと交渉中だとします。契約途中でどうしても価格が折り合わず、ディーラーAがこれ以上値引きをしてくれないため、自分の購入希望価額よりも高い金額で妥結を迫られているとします。そんな時に、仮にBという別のディーラーから違う車種ではあるものの自分の希望価格で購入可能な代替案(BATNA)もあるとすれば、ディーラーAとの交渉が決裂しても、最悪そのBATNA(ディーラーBから別の車を購入する案)を採用する選択肢も残ります。つまり、そのBATNAさえあれば、ディーラーAとの交渉において、ディーラーAの言い値で無理に妥結させず交渉決裂でも構わないという精神的な余裕が生まれます。
 これに対して、ディーラーAの扱う車がどうしても欲しくて、これ以外の車は買う気がしないということになれば、交渉決裂した場合にはよい代替案がありません。あえていえば、その時のBATNAはその車を手に入れられなくても我慢するという案になります。こうなると不本意であってもディーラーAの言い値で妥結する結果を受け入れざるを得ないかもしれません。
 したがって、交渉においては、お互いにどんなBATNAを持ち得るのかがとても重要なことになります。
 ちなみにBATNAは交渉が成立しない場合にとり得る最善の代替案のことですが、その反対の考え方であるWATNA、すなわち交渉が成立しない場合にとり得る最悪の代替案も想定しておくとよいでしょう。WATNAに関しては次の考え方が参考になります。

交渉がまとまらなかった場合に何が起きるかを考える。「交渉が成立しない場合にとり得る最善の選択肢(BATNA)」を考える人もいるが、これには問題がある。最善の選択肢に焦点をあてると、多くの場合、目標を達成せずに交渉を終えることに抵抗がなくなってしまうのだ。撤退の選択肢を考えておきたい人は、代わりに「交渉が成立しない場合にとり得る最悪の選択肢(WATNA)」を考えてみよう。これをやることで、合意が得られない場合のリスクがわかる。さらによいのが、最善から最悪まで、ほかのすべての選択肢と、それぞれが実現する可能性について考えることだ。

(出典)「ウォートン流人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術」(スチュアート・ダイアモンド)

以前、ビジネス関係者の一団にバトナに関する話をしたときのことだ。一人の男性がやってきてこう言った。「おっしゃるとおりだと思います。でも、私はワトナ(WATNA 最悪の選択肢)も考えておきたいんです」(中略)「交渉が決裂した場合、どうなるか心配だからです。起こり得る最悪の事態を想定しておけば、あとは、相手に殺すつもりさえなければ生き残れるはずだ、と自分に言い聞かせられる。」

(出典)「ハーバード流最後までブレない交渉術」(ウィリアム・ユーリー)

⑦合意:譲れるものは譲ることが交渉のコツ

 「交渉の7つの要素」の最後は⑦合意です。射手矢氏は合意に関して次のように説明しています。

⑦合意
 互いの意志の合致──つまり、交渉の結末です。これが見えてきたら、〈利益〉を思い起こして、「本当にこれで満足できるか?」と自問することが必要になります。交渉の結末は、〈オプション〉によって〈合意〉するか〈BATNA〉を取るかの、ふたつにひとつとなります。

(出典)
「これが中国のルールだ」国家マウントしてくる中国企業に国際弁護士が突きつける”奥の手”ちゃぶ台返しには「BATNA」というカードを切る
射手矢 好雄(国際弁護士)PRESIDENT Online 2022/06/28

 この⑦合意に関しては、大阪府知事・大阪市長も歴任した弁護士の橋下徹氏が著書の中で次のようなアドバイスを書いています。交渉を合意に着地させるうえで大変参考になる言葉です。

 交渉で一番大事なことは事前の「要望の整理」だ。自分の要望はもちろん、相手の要望も整理の対象だ。
 自分の要望が多ければ多いほど、交渉は成立しにくくなる。要望が多いということは、獲得目標が多いということ。「これも獲得したい、それも獲得したい、あれも獲得したい。だから、これも、それも、あれも譲れない」となると、交渉はまとまらなくなる。
 大事なこと事前に要望を絞り込むこと。究極的には一つに絞り込む。
 一つに絞り込めなくても、例えば、当初一〇個の要望があるなら、せめてニつか三つに獲得目標を絞り込んでおく。
 当初一〇個の要望に優先順位をつけ、獲得目標を上位三つに絞り込んだら、残りの七つは相手に譲歩してもいいということだ。つまり、譲歩のカードとして使う。そして優先順位の低い方から、一つずつカードを切っていって、最終的に七個までは譲歩し、残り三つは絶対に譲歩しない。
 言い換えれば、一〇個の要望を『絶対に譲れないもの』三つ、『譲れるもの』七つにきちんと事前に整理しておくということだ。
 こちら側が『譲れるもの』を譲ることが、相手に「利益を与える」ことになる。当たり前だが、交渉は、相手に利益を与えれば与えるほど、まとまりやすくなる。

(出典)「交渉力」(橋下徹)

デッドラインは常に意識しておく

 「交渉の7つの要素」以外に常に意識しておくべきことがあります。それは交渉の残り時間(デッドライン)です。デッドラインが迫ってくると、自分にとっても交渉の相手方にとっても交渉の行方を左右する大きな要素になってきます。そのためデッドラインをどのように考えていくかは作戦を立てるうえでも重要なポイントになります。しかしながら、デッドラインについての詳細な説明は省略し、別の機会に改めて説明予定です。ここでのアドバイスとしては、デッドラインについては「交渉の7つの要素」とともに常にセットで考慮しておくべきだという点です。

交渉に関して深くかみしめるべき考え方紹介(2つ)

 今回は「交渉の7つの要素」の概要について説明しましたが、交渉についてはお伝えしたいことがまだまだたくさんあります。幸い交渉に関しては学問的に研究した良書も多く、また様々な分野での交渉経験者による知見を開陳した本も多く出版されています。したがって、今後も引き続き交渉に関する考え方や本を紹介していく予定です。
 今回は、説明で引用した射手矢好雄氏と橋下徹氏の著作の中から味わい深い二つの考え方を紹介しておきます。

感情で立ち向かわない
(途中省略)
 交渉をうまく進める秘訣のひとつに、「相手の感情に対して、感情で立ち向かわないこと」があります。
 何か不満があるから、それが表面化する。問題行動に出てしまう。それに対して、こちらも感情で真正面から向き合ってしまったら、完全に衝突してしまいます。激情に任せて行動しない、感情で直接対処しないというのは現代の交渉の鉄則です。

(出典)
「ふしぎとうまくいく交渉力のヒント」(齋藤孝、射手矢好雄)

絶対に知っておくべき「交渉の終わらせ方」の原則
 交渉の終わらせ方についても原理原則がある。それは、「交渉は握手で終わる」というものだ。交渉がまとまれば、もちろん握手で終わるが、まとまらない場合やお互いに別の道を歩むことになった場合でも、最後は握手で終わらせるように努めるべきだ。
 世の中は狭いもので、社会的ポジションが上がってそれなりの大きな仕事をしていくと、かつて交渉で携わった相手が、何らかの形で関係してくるということも結構あるものだ。ゆえに、今回決裂してしまった相手と、別の機会に、どこかでつながる可能性も見越して、最後は握手で終わるべきだ。
 特に、現在一定以上の責任のある仕事をしている社会的ポジションの高い人は、交渉が決裂した時でも、最後は必ず握手で終わらせることが必要だと思う。
 敵対的交渉であっても、相手が白旗を揚げたときには、そこでもう撃ち止めにして、握手できる余地を残しておくべきだ。物別れに終わった場合でも、「はい、さようなら」で帰るのではなく、お互いの労をねぎらい握手をして別れる。そうすれば、交渉が決裂しても、交渉当事者の人間関係は決定的に壊れずにすむ。

(出典)「交渉力」(橋下徹)

今回のまとめ

交渉に際しては、常に「交渉の7つの要素」を見ながら、今はどの要素について考えているのかを明確にしておくこと。交渉中はどの要素が問題なのかを意識して作戦を練り直すこと。合わせてデッドラインについても意識しておくこと。

メモ

◆BATNAについては、第32回目の記事(交渉力の源泉であるBATNAの有効性とその限界)でもう少し詳しい説明をしています。ご関心のある方はどうぞ。
◆「交渉の7要素」のうち「Relationship」については第73回記事(有事の交渉に向けて平時に信頼関係の構築に努める)で取り上げています。よろしければこちらもどうぞ。

おすすめ図書

「ふしぎとうまくいく交渉力のヒント」(齋藤孝氏と射手矢好雄氏の共著)

今回説明した「交渉の7つの要素」のことが分かりやすく説明されています。この本は射手矢氏と齋藤氏の対談という形で書かれており、とても読みやすい内容になっています。「交渉の7つの要素」を日常生活の中で具体的にどのように活用したらよいのかについても、小説などを題材に説明してくれており、「交渉の7つの要素」の活用方法を実感するには最適な1冊です。ぜひ一読をお勧めします。

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①「ハーバード流交渉術」(ロジャー・フィッシャー、ウィリアム・ユーリー)
②「【決定版】ハーバード流“NO”と言わせない交渉術」(ウィリアム・ユーリー)
③「最強 ハーバード流交渉術―仕事が100倍うまくいくNoの言い方」(ウィリアム・ユーリー)
④「新ハーバード流交渉術 論理と感情をどう生かすか」(ロジャー・フィッシャー、ダニエル・シャピロ)
⑤「ハーバード流最後までブレない交渉術: 自分を見失わず、本当の望みをかなえる」(ウィリアム・ユーリー)

⑥「最新ハーバード流 3D交渉術」(デービッド・A・ラックス、ジェームズ・K・セベニウス)

ハーバード流交渉術をもっと詳しく知りたい方は、上記6冊がお勧めです。6冊も読めないという方は上記①②③の3冊を、どうしても1冊だけという方はまずは①だけでも読んでみてください。どの本も交渉術の範囲にとどまらず仕事をしていく上でも多いに参考になります。なお、上記のうち⑥は他の5冊と少し毛色が異なり、交渉をマクロの観点で認識して作戦を考えるようにアドバイスしてくれます。観点が他の5冊とは若干異なっているので、違った見方を考えさせてくれる本です。

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「決定版 交渉力―人を動かし、自分を伸ばす」(ジョン・イリッチ)

私はハーバード流交渉術の「交渉の7つの要素」に出会う前まではこの本を交渉のバイブルとして愛読していました。交渉の実戦の場で参考になる考え方やフレーズが満載で、交渉の渦中にあるときに何度となく読んで勇気づけられた本です。ハーバード流交渉術の本が出回るようになってからは、あまり評判になることもありませんが、隠れた名著だと思っています。1986年発行という古い本なので現在は絶版になっていますが、古本なら意外にも簡単に見つかり、しかも安く売っています。もし古本で目にしたらぜひ買って読んで欲しい本です。

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「ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術」(スチュアート・ダイアモンド)

ハーバード流交渉術とはテイストがかなり違いますが、ハーバード流とはまた別の視点や気づきを与えてくれる良書です。交渉の実戦でヒントになるようなテクニックが多く紹介されており、私の中ではかなりお気に入りの一冊です。

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「逆転交渉術 まずは「ノー」を引き出せ」(クリス・ヴォス、タール・ラズ )

著者のクリス・ヴォス氏はFBIの首席交渉人だった人で、テロリストや立てこもる誘拐犯を相手に交渉経験を積んできた人です。FBIでの経験が20年以上もあり、著者が人質交渉人として経験したエピソードなども紹介しながら交渉のノウハウを教えてくれます。学者と違って、現場の修羅場をくぐり抜けてきた交渉人の言葉には耳を傾けるべき知見が詰まっています。読み物としても面白くお勧めいたします。

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ハットさん
ハットさん

常日頃から「交渉の7つの要素」を考える習慣をつけておくと、交渉での成功率が格段に上がりますよ。試してみてね。

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